第140回 道真改革、始動!の巻
改革は醍醐天皇の名の元、時平主導で実行された、というのが史実です(延喜の治)。
政治家・道真の実績で有名なのは「遣唐使廃止」ぐらい。
「改革の立役者」としての史実は出てきません。
しかし、マンガを面白くするためにフィクションで「改革は道真がやったことにしちゃろ~!」としたわけではありません。
改革を実行したのは時平で間違いないのですが、この大改革の緻密な計画は、道真を中心とする集団によって作られたと考えられます。
その根拠は、このとき道真は民部省(=今の財務省)トップに就任していること。
つまり、改革を実行する省庁で権限を与えられているのです。
改革の内容が、現場のオペレーションを熟知して策定された、大胆かつリアリスティックなものであったことも、道真が関わっていたとことを強く裏付けるようです。
「改革」というと「世の中変えちゃるで~!」みたいな、大ざっぱでマンガ的な、わかりやすいものをイメージしがちです。
が、実際は「決算報告書の記載方法」「各税の税率」「土地の測量と台帳の記載方法」「戸籍の再編」などなど、素人じゃよくわからないコマカ~いオペレーションにの積み重ねで世の中が変わるのが「改革」です。
しかし…残された史実には道真の名前はどこにもありません。
民部省のトップで、中央貴族では到底思いつかない「検税使の廃止」を提言をした、道真の名前が残っていないのは不自然としかいいようがありません。
政治の敗残者の功績は文書から名が消されてしまうのが歴史の常です。
時の権力者にとって、政敵の功績が燦然と輝いている状態は都合が悪いからです。
道真が太宰府で「私の功績は後世に残らないのだろう…」と嘆いた、その通りになってしまっているのです。
私自身は特に政治思想や決まった支持政党もありませんが、政治家としての菅原道真が大好きです。
一人でも多くの人に「学問の神」「天神」以外の側面も知ってほしいと思い、「政治家・道真」を少しだけ描いてみました。
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いよいよこのあと、道真マンガ第三部の後半。
本人の意に反してドンドン昇進を続ける道真。
宇多天皇の引退と醍醐天皇の誕生。
アンチ道真包囲網が道真に襲いかかる!!
そしてついに…歴史上有名なあの悲劇が!!
マンガはユル〜くクライマックスへ向かいます。
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