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第24回 あこちゃん、漢詩デビュー!の巻【その2】

あこちゃん、いよいよ漢詩デビューの発表会。どんな詩を詠んでくれるのかな・・・。

この時代、「漢詩作れます!」→「こやつ、できる!」が共通認識でした。

漢詩の作詩能力は政治能力の目安にすらされていました。 今に例えるとTOEIC900点!とか英検1級!が「仕事できます」の目安のように扱われるのとちょっと似ています。

しかし、その中味は全然違います。

どう違うかというと、英検やTOEICは語学の能力を測るものであって、いわゆるIQのような知能の高さや、EQ(自分や相手の感情を利用する能力)とは必ずしもリンクしません。

しかし漢詩の作詩能力は、IQやEQに加え、教養をプラスし、どれが欠けてもできないと考えられそうです。 

例えば、学校で必ず習う五言絶句(ごごんぜっく)。 漢詩の代表型で、4句(4行)にそれぞれ5つの漢字が入る、下のようなテンプレがあります。

ここに、テーマに沿った漢字を配列していくのですが、その際に■の部分は韻を踏まないといけません。 

□□□□□
□□□□■
□□□□□
□□□□■


さらに音読の時に漢字1字ごとに上がったり下がったり平らにしたり詰まったりと、4種類の調子で音を整えます(平仄:ひょうそく)。

この音の抑揚を1句目と2句目で逆にしたりするのです(すごテク!!) 

平仄の上げ下げを●○で表すとこんなイメージ。

〇〇●●〇 
●●〇〇■

これが七言律詩とかになってくると8句(8行)でそれぞれが7文字です。もっと長いのもあります。

すごくないですか?

ましてや、道真さんやでんチャン(島田忠臣)が得意としていた即興での作詩となると、これはもう、超人技です。

涼しい顔でこれをサラっとやれる人であれば、どう考えても「頭いい~! 情報処理能力高い~!」と見なされても不思議ではありません。


「漢詩=文系」のイメージが強いですが、七言律詩のような詩を、テーマに沿って即興で作詩する能力は文系能力だけでなく、理系的なパズル思考も必要と考えられます。

頭の中のテンプレに、韻や平仄を漢字パズルしながら、その場の状況に即した感情や、古典の引用をも入れ、最終句できっちりオチをつける…

ちなみに学校で必ず習う漢詩の代表型・五言絶句の「絶句」は4句(4行)。それぞれは起句・承句・転句・結句と呼ばれます。実は4コマ漫画の「起・承・転・結」は絶句に由来します。

つまり・・・4コマ漫画が上手い人は、知能が高い・・・!?

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