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第120回 牛車禁止 の巻
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牛車はその車体だけでなく、維持にも高額の費用がかかります。ゆえに牛車を乗り回すことは貴族にとってステータスでもありました(現代なら外車やスポーツカーの感覚?!)。
宇多天皇は突然、これを禁止にします(出た~宇宙人!)。
しかしいったい、何のために?
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建前は「倹約」。
つまり贅沢を戒めるためです。 しかし理由はそれだけではなさそう。
なぜなら禁止令からたった1年ちょいで禁止を解除しているからです。 その後、天皇の許可制で牛車使用を認めます。
・・・つまり、貴族のステータスを一時的に奪い、天皇の名の元にそれを許すことで天皇の威力を見せつけた…ということが考えられます。
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宇多帝は臣下から天皇になった人。宮廷内での基盤は脆く、即位して早々、藤原基経にボコボコにされ(阿衡事件)、陽成上皇や源氏たちからもなめられ、四面楚歌の状況でした。
基経が他界したことをチャンスとして実権を握ると、次々と天皇の権威を高める施策を繰り出したのです。
まだ若く実績もない宇多帝がひとりでこんな大胆な施策を実行したとは考えにくく、背後で養母・藤原淑子(よしこ)と実母・班子(なかこ)女王の最強タッグが睨みをきかせていたと想像しています。
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写真は「マンガ描くなら実物見とけ!」の法則(?)で滋賀県草津の「宿場祭り」に牛車が来ると聞いて見に行ったもの。想像以上にガッチリした造り!
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実物は見るのですが写生するわけでもなく、絵の参考にするわけでもなく(というか、画力的にムリ)、まあ、なんというか、気持ちの問題です。