俺に夢を聞くな

仕事に集中することが苦手でいつもなにか考え事をしてしまう。ふと思い出したのだが高円寺の街を歩いて居たら急にインタビューされたことを思い出した。俺が私服でど根性ガエルのTシャツを着ていたら、それが気になったらしく声をかけてきた。

最初の質問はあなたのその他の部分はありますか?という質問だった。なんだその質問は…。

困惑した。ない。普遍。普通。大多数。それが俺なので無い。無いですと答えた。そしたら当たり障りのない会話になった。オンエアはされないだろうなと思いながら適当に話を進めていると、最後にあなたの夢は何ですか?と聞かれた。

夢???寝てる時に見る方ではなく起きている時に見る夢????

明らかに20代を超えて、死んだ目で街を歩いてる俺に夢があるように見えたのだろうか。もちろんない。夢なんてもう無い。気がついたらプロ野球選手になる夢は中学の途中で消えた。その瞬間から自分の夢なんてものは曖昧で、まあとりあえず目の前にあることを適当にこなしていた。そんな俺に夢なんてなかった。

はて、そんな事を聞かれて本当に困ってしまった俺は悩んだ挙句、もっとうまく生きられるようになりたいです。と答えた。別に自分が生きるのが下手かと言われたらよく分からないし、特別不幸な訳でもない。他人からすごく好かれてきた訳では無いが何人かは友達もいる。別に生きる上ですごくすごく困ってることなんかない。なのにこう答えてしまった。今考えればどんな意図があったんだろうか。なんと答えればいいのだろうか。俺は夢を持った方がいいのだろうか。よく分からない。俺の好きな長渕の曲にMyselfという曲があるのだがその中にも「夢はなんですかと聞かれることがこの世で1番怖く思えた」とある。

まだそれなりに希望を持っていた時期は正直よくわからなかったが今ならわかる。確かに怖い。他人に引かれず、そして非現実的であり過ぎない夢を言わないと他人から否定されるかもしれない。他人から否定されることを恐れるなとはよく言うが、そんなもん怖いに決まってる。自分が自分をどう思ってるかはもちろん大切だが、結局社会から見た自分は他人が決める。他人の目が自分の評価だ。低ければ低いほど生きにくいに決まってる。だから怖い。否定されるのは怖い。

まあ色々ぶつくさと言ってきたがそれでもMyselfの歌詞では「だからまっすぐまっすぐもっと真っ直ぐ生きてえ」とある。そんなに卑屈になる瞬間があってもそれでもまっすぐ生きようとするその生き様は、この情けない俺のいつまでも道標である。それならば俺の夢は真っ直ぐ生きることである。1人になろうとしても、青い空が邪魔くさく思えても、真っ直ぐ生きることである。目印なんかないからいつまでたっても自分が真っ直ぐ生きれてるかなんて分からないけど、とりあえず今日もまっすぐ転ばないように歩いてみることが俺の夢なのかもしれない。

ただ今の俺に夢を聞くな。何も答えられないから。

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