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ミステリーツアー夫婦の旅エッセイ【箱根湯本・強羅・大涌谷編】
「ミステリーツアー夫婦の旅エッセイ」です。
こんにちは、池田あゆ里です。フリーライターをしています。
夫です。撮影・動画編集が得意です。本業はダンサーをしています。
なぜミステリーツアーなのか?
旅行の計画は、すべて夫がしています。しかし、彼はぎりぎりにならないと決められない性格なので、わたしは行き先を知ることができません。
事前に聞いていたとしても、わたしは内容をよく忘れるので、夫も「どうせ覚えてないから言わなくていいや」と諦めてしまったようです。
そんなこんなの末の「ミステリーツアー」。それが夫婦旅の通例となりました。
そのくだりは、こちらのエッセイで書いています。
今回は、わたしがおすすめしたい「箱根の旅」を紹介していきます。
箱根登山線「強羅駅」へ
2020年8月28日、小田急線箱根湯本駅に到着。
あ「さて、箱根湯本に着きましたが今日はどこへ?」
夫「登山鉄道に乗って、強羅に行きます。はいこれ使って」
あ「…ん?箱根フリーパス?さっき駅で買ってたチケットだよね?」
夫「そう、チケットは箱根湯本でまとめて買ったほうがお得なんだ」
あ「さすが、ぬかりないねぇ!」
夫「君はなんも準備しないから。ありがたがってもらいたいよ。ホント…」
夫から少しばかり嫌味を受けながら、強羅駅に向かって登山鉄道に乗車しました。
道中の緑が美しかった…。
あ「よし!きょうらに到着!このあとはどこへ?」
夫「……」
「強羅」は「ごうら」と読みます。「きょうら」だと思ってました。
夫「ケーブルカーから箱根ロープウェイに乗りかえて、火山を見に行く」
あ「え!火山!?…危ないんじゃないの?」
夫「観光スポットだから大丈夫。そこで温泉たまごを食べるよ」
あ「おぉ!温泉たまごは初体験だ」
こんなに説明してくれるなんて、めったにないこと。夫は機嫌がいいようです。
強羅駅から「箱根登山ケーブルカー」に乗車。ケーブルカーはずんずんと山を登っていきます。
あ「…結構な傾斜なのに、かなりの速さで進んでいくなぁ」
夫「これは太いケーブルで引っ張ってるんだよ」
あ「ほんとだ。線路の中央に、太いケーブルが高速で動いてる!」
旅の予習をしていないわたしは、見るものすべてが新鮮。ミステリーツアーは性に合っているかもしれません。
ロープウェイで「大涌谷」へ
次に乗車する「箱根ロープウェイ」へ乗り換えるため、「早雲山駅(そううんざんえき)」に到着しました。
2020年に全面リニューアルした駅だそうで、絶景が見えるテラスや足湯、おしゃれなラウンジがあり、そこにいるだけで穏やかな気分になりました。山の谷間からのぞく海、美しかった…。この時点で標高は700m以上です。
風景と「忍ジャエール」というジンジャエールを楽しんだあと、箱根ロープウェイ乗り場へ向かいます。
ここでも、箱根フリーパスの出番が!
ロープウェイの車内はとても広く、急な雨にも負けず登っていきます。天井から足元までの大きな窓。おかげで山に囲まれた360度の世界を見渡すことができました。
山を登り切ったところで、ディズニーランドのような躍動感あふれるBGMが流れ出しました。シャラララーン。
あ「な、なにごと!?」
夫「おどろけ、あれを見ろ!」
あ「か、火山谷だぁ~!!」
火山谷の「大涌谷」が目の前に広がっていました。山々に隠れていたから、頂上にくるまでわからなかったんだ…。谷が姿をあらわす直前に音楽の演出。箱根ロープウェイさん。テッパンなやり方でしたが、不覚にも感動しました…。
興奮のロープウェイを堪能し、「大涌谷駅」に到着。
そういえば、朝から何も食べてなかったことに気がつきます。
「大桶谷駅食堂」で腹ごしらえしました。夫はカツカレー。わたしは野菜カレー。うん、うまい。
食堂のガラス張りの窓にはもくもくと煙立つ火山。それを横目にカレーを食べました。ビビるくらい火山だなぁ。大桶谷の標高は1040m。ずいぶん登ったもんだ。
外を散策すると硫黄の匂いが鼻をさしてくる。黄色く変色した山の斜面には、木々が1本も生えてない。あそこに降りたらどうなるんだろうか。
大涌谷名物「黒たまご」
お待ちかねの大涌谷名物「黒たまご」を食べに行きます。
あ「さぁ、温泉卵。食べるよぉ!」
夫「さっきカレー食べたばっかなのに、入るんか?」
硫黄の匂いが充満しているこの袋。でもなぜかそそる…。
黒い。
火山の地熱と火山ガスが科学反応を起こして黒くなるらしいです。
それじゃ、中身も黒いのだろうか?
あ「白い!」
夫「つるんつるんだなぁ」
あ「いざ、黒卵初体験。いただきまーす!」
夫「…どう?」
どや顔でかじった卵を夫に見せびらかす。
あ「うまっ!なんだこれ。普通のゆで卵よりも水分を含んでいる感じ。黄身は固すぎず柔らかすぎず。味は素朴だけどおいしーい」
夫「ライターなんだんからさ、もうちょっとボキャブラリーないの?」
あ「…わたしは彦摩呂じゃない!これでもがんばった方だぞ!」
夫「卵みたいに顔丸いくせに。ああ、それにしても、カフェオレと温泉卵って合うよなぁ…」
あ「うまっ!塩かけるとうまっ!」
こうして、箱根旅初日が暮れていきました。
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