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春が始まり、終わるまで

「明日で卒業かぁ」
雨が残る帰り道にそんな事を友達と話していた。
明日
僕らは中学を卒業する。
一つの区切り。 それぞれの道に進む為に必要な事。
心は複雑だ。
恋をしている訳でもない。
ただ仲の良い友達と別れるくらいならこんな事にはならない。
何故だろう。
こんなにも分からない事が気持ち悪い。
せめて、この複雑な心が少しでも晴れるように、
思い出をここに記す。


1 最初の春

あの期待に胸を躍らせた日
ワクワクしていた。
小学生の時には無かった「青春」を楽しめると思っていたから。
入学式は緊張したし、先輩達はキラキラしていて 、憧れていた。
こんなにも中学校って凄いんだと感じたことはない。
初めての担任は女の先生で凄く明るいイメージがあった。
先生は「何よりも挨拶」と言っていた。
正直ウザかった。初対面で何よりもとかゆうなよ
挨拶そこまで大事か。 なんて思っていた。
初めての友達は同じ小学生の奴だった。
まぁ当たり前に近いんだが。
クラスにいわゆる「超絶美少女」が居なくてガッカリしていた時に隣から声をかけられた。
「同じクラスだな宜しく」
小学生の時の友達で驚いた。
「なんで驚くんだよ同じクラスなの知ってるだろ」
「俺はそうゆうの見ない主義だから」
言えない。
興奮してて見るの忘れてたなんて言えない。
「なぁ、折角だし他小のやつに声かけに行かね?」
そんな事を話していたら先生の「授業始まるよー」のあいずでボチボチと座り始める。
中には別に学活でコミュニュケーシヨンを取るから良いでしょみたいな事を言ってる奴もいた。
最初の帰り道
結局別小の奴と仲良くなれず2人で帰っていた
「結局お前と2人で帰るのか」
「なんだその嫌味は」
「嫌女の子にチヤホヤされてから帰りたいじゃん」
「お前じゃ無理」
「はぁ?」
「短気か」
「いや怒るだろ」
これが平常運転なのが面倒くさい。
「見てろよ、明日にはお前より多くの友達作ってやるから勝負だ」
「却下」
「逃げんのか?」
「は?、やってやるよ。」
「ふーん」
結局どっちが友達を多く作れるかの勝負になってしまった。
家に着くと開口一番に母から「入学式どうだった?」
「散々」
「まぁ」
めんどくせえ。

2 友達勝負 〜上〜

アラームが鳴る。
カーテンの隙間から差し込む光が眩しく、目を擦る。
「なんでこんな勝負受けたんだか」
そう愚痴を吐きつつ、リビングへ足を運ぶ。
今からでも辞めるのが得策なんだが、プライドが許してくれる訳がない。
負けたくないのだ。
そう考えながらご飯を食べ始める。
例え意味のない事だとしても、あいつには負けたくない。
負けられない
そう考えるとムシャクシャしてご飯がいつもよりも早く口に運ぶ。
「喉に詰まるわよ」
その母の助言も虚しく、詰まらせむせる。
「ほら」
「遅い」
「食べたら歯磨きしてね」
奇怪なのかもしれないが苛立ってしまい、
「ご馳走様」とのこし茶碗の半分ほど残して2階に上がり学校の支度を始める。
「反抗期かしら」
母の声が微かに聴こえたがそんな事は知らない。
今日はあいつとの勝負の日。
なんだかんだ言ってあいつの方が明るいので勝ち目がないのは明確だ。
ならどうする。
秘策はない、そうゆうところまで真剣なのは負けた気がして嫌だからだ。
「さてまずは、」
話す人を考えながら家を出る。
登校中、ふと桜が咲いてるのに気づいた。
「今年は大分遅いな」
4月8日、いつもは3月下旬には咲くのに、今年はやたらと遅かった。
身体が暖かさを感じたのは早かったのに、桜は遅い。
「自然は謎だねぇ」
後ろから声がした。
顔に見覚えがあった。
「ああ、同じクラスの」
「そう、桜遅かったねぇ」
「そうだね」
「学校まで一緒に行かないかい?」
「ああ、良いよ」
そんな事を話して学校へと足並みを合わせる。
「君、名前は?」
「ひかる、青凪 天晴」
「ひかる君かぁ、僕は未菜兎ってゆうんだぁ」
「みなと君ね、宜しく」
「宜しくねぇ」
不思議だ、凄くおっとりしているのに、何処か不思議な感じがする。
何故だろう。
今は気にせず、学校に行くことにした。
あいつ、天空(そら)とは帰りは一緒なんだが、
起きるのが遅すぎるので、登校時は1人になる。
「昨日のあの子はぁ」
「ああ、あいつ?」
「そぉ」
「遅くてさ」
その事も聞かれた。
「見た事ないね、どこ小?」
「東ぃ」
「東小かぁ、どうりで」
自分は北小なので、顔を見た事ないのも納得だ。
「同じクラスだし、仲良くしようねぇ」
「うん」
これで1人、
奴が来る前に、出来るだけ多くの友達を作らないと、確実に負ける。
そう考えていたらいつの間にか校門の前だった。
そのまま下駄箱に行き靴を履き替えていたら、足を滑らし、ぶつかってしまった。
「ああ、ごめん。」
「大丈夫です。」
「大丈夫ぅ?」
「あ、未菜兎くん」
「なんだぁ、実冬(みふゆ)じゃぁ〜ん」
「えっと、2人は知り合い?」
「う〜ん、小学校のねぇ」
「はい、えっと」
「ああ、俺は天晴」
「ああ、ひかるくん」
「未菜兎と仲良いらしいし、仲良くしようね」
「はい、宜しくお願いします」
「うん、宜しく」
これで2人、意外な所で2人も獲得してしまった。
コレならあいつにも勝てるかもしれない。
浮かれながら教室に向かった。


3 あとがき

この小説を最後まで読んでいただき、誠にありがとうございます。 雨雪です。
この物語は、僕が中学を卒業して、思った事、感じた事、望んだ事を物語にしてみました。
まだ少ない量ですが、最終的に3年間の物語にしようと思っています。(大体10巻ぐらい)
初投稿でしたが、楽しんでくれれば、続きが読みたい! と感じてくれれば幸いです。
今後とも「春が始まり、終わるまで」をよろしくお願いします

4 作者談

今後登場予定のキャラは大体4人ぐらいだと思っています。
(多いと設定めんどいし、仕方ないね)
次回からは先頭に置きますが、今回は最後にキャラ設定を載せておきます。
出来れば、身近な人に登場人物を照らし合わせてみてください。

青凪 天晴 (あおなぎ ひかる)
この物語の主人公。
冷静で、一つ一つの事をしっかりと考える努力家。
たまに焦ると、人間不信になる。

暁 天空 (あかつき そら)
天晴の友達。
凄く明るく、天晴とは真逆の、天才肌。
何事にも前向きで、行き当たりばったりな感じがある。

音咲 未菜兎 (おとざき みなと)
天晴の2人めの友達。
すごくおっとりしていて、不思議な感じがする少年。
何を考えてるのか分からないので、いろんなところでばったりあっては、すぐにどっかに行ってしまう。

夢月 実冬 (むつき みふゆ)
未菜兎の友達。
真面目で、誰にでも敬語を使う。
少しドジで、よく迷子になる。(出会った場面では、自分の靴の場所がわからなかった)

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