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私の人生のバイブル『人間失格』とamazarashiの音楽 ー「世間というのは、君じゃないか」


こんばんは。
Amayjigenです。

今回は私の人生のバイブル
太宰治の『人間失格』についての記事です。

かれこれ10回以上読んでおり、友人からはよく鬱にならないね、と呆れられております笑

あまりに大名作故に、どこから書こうか迷いましたが………、今回は物語の概要はさておき、自分が読んで感じたことをつらつらと書いていこうと思います。

それでは早速、本編へ参りましょう。


意外と読みやすい問題作


『人間失格』は傑作にして問題作。内容も相まって、読む前から敬遠している方も多いのではないでしょうか?

でもこの作品、意外と読みやすいんですよ!


まずページ数は、解説あとがきを除けば、たったの155ページしかありません。 
お値段も300円そこそこ(安すぎる!!)。
最初に手に取るには丁度良い作品だと思います。認知度も高いので、感想も共有しやすいですしね。

強いて読みづらい点を言うなら、「。」(句点)が少ないことでしょうか。要は一文がとっても長いんです。

ページにぎっしり詰まった文字を見ると気が引けるかと思いますが、文章自体がとても丁寧な上に綺麗なので、あまりストレスなく読めるかと思います。

一人称視点で、ずーっと読者に語りかけるような文体も魅力的です。

是非気軽に手に取ってみてください🐳


太宰治の言葉と、
amazarashiの音楽


さて、かく言う私も何となしに敬遠してきた人間ですが…………。

そんな私が『人間失格』を手に取ったキッカケは、amazarashiでした。

どこぞのネット記事で、フロントマンの秋田ひろむが太宰に強く影響を受けていることを知ったのです。

初めて読んだ時の印象は、「なんか暗いなぁ………」ぐらいにしか思いませんでしたが、自分の人生と重なる部分も多く、以後自分のバイブルとして常に本棚に置いてあります。


よくよく読んでみると、影響を受けているだけあって、文章のそこかしこにamazarashiのエッセンスを感じる部分が多いわけです。

リアルタイムで新譜を追いながら、何度も読み返していると、その都度違った解釈で楽しめるんですね。

私がこの作品を読むにあたって印象に残っているアルバムは『ボイコット』


『アルカホール』の酒と女に溺れて堕落していく様は、正に『人間失格』を体現しているかのような作品だと感じました。

主人公の葉蔵も、未来の不安を案じながら、きっと"今"だけを貪って懸命に生きていた筈です。



はしゃいだ分だけ寂しい
空虚に化粧ほどこし
夕映えが最後に
頬を赤く染めてくれる
そしたら綺麗と言って
良かったころの思い出
口を塞いで黙らせて
今だけ見ろって

ア ア ア  アルカホール  フォール
ア ア ア  アルカホール  フォール
ーamazarashi 『アルカホール』



また、アルバムの最後の曲
『そういう人になりたいぜ』は私の特にお気に入り。今作を読みながら、常に頭の中で流れ続けていた曲です。

人間不信により、ひたすら破滅へと突き進む葉蔵に、是非聴かせてあげたい…………。

葉蔵ーーーーーー!!!😭😭😭😭😭



君の気が狂っても
待っている奴がいるぜ
君の家が無くなっても
帰る場所はあるぜ
君を守る為
世界を終わらせてもいいぜ
そこで僕は凍えて
死んじまったっていいぜ
夕焼け空が悲しいな
世界が終わりそうな色だから
洗濯物は放っておこう
世界は明日も続くけれど

ーamazarashi 『そういう人になりたいぜ』



葉蔵が恐れたのは、何気ない日常を生きる普通の人間でした。

だからこそ生にしがみついて、ありふれた人の温みを求め続けたのでしょうね。

アルバムによって光と闇を行ったり来たり、それでも軸となるスタイルは全くブレないamazarashiの楽曲たち。

先ずは彼らの音楽を味わってから、『人間失格』の世界へ踏み出してみてはいかがでしょうか?



令和の時代にも響く言葉



最後に、『人間失格』で私が一番印象に残っている言葉を紹介して締めくくりたいと思います。

それは、

「世間というのは、君じゃないか」

という一文。


太宰は世間の目を、"個人"と捉えたのです。



(それは世間が許さない)
(世間じゃない。
あなたがゆるさないのでしょう?)
(そんな事をすると、
世間からひどい目に遭うぞ)
(世間じゃない。あなたでしょう?)
(いまに世間から葬られる)
(世間じゃない。
葬るのは、あなたでしょう?)


SNSが盛んになった昨今。
悲しいことに、誹謗中傷によって精神を病む人や、自殺してしまう人をよくニュースで見かけます。

終戦直後の混沌とした時代を生きた太宰のこの言葉は、そういった心の弱ってしまった者の心の叫びを代弁していると思うのです。

世間というのはあくまで個人の集合体で、広い世界から見れば、ちっぽけな悪口に過ぎません。


「世間というのは、君じゃないか」

いつか人前で堂々とメンチ切って言ってみたいもんですねぇ!笑


『人間失格』は
一人の人間の破滅を描いた作品ですが、
人間の奥底に沈む暗い感情を、芸術(創作)として美化させたからこそ、読者である我々に希望や救いが見出せるのではないでしょうか。



光と闇を行ったり来たり。
それはまるでamazarashiの音楽のように。


あなたが感じるのは


闇から射した
僅かな希望でしょうか                それとも

ひたすら堕ちてゆく
単なる絶望でしょうか



もちろん、それぞれ好き嫌いはあるので、無理に読む必要はありません。

でもきっと、太宰の言葉は、葉蔵は、その身を呈して我々の心を守ってくれると信じています。

本も人も同じく、
ラフに向き合っていきましょう😊


今後も自分の好きな本をちまちまと紹介していこうと思います。

というわけで、今回はこの辺で。

また次回、お会いしましょう。
よしなに!🐳

それでは。


P.S.

『人間失格』を読む際は是非とも
新潮文庫 premium  coverで!

新潮文庫 premium cover 2020年版


渋い!  かっこいい!!


中身は変わらんけどね笑

インテリアとしても雰囲気バツグンですよ🐳

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