アイスランド日記 8日〜13日目
21日
何をしたか忘れてしまった。
朝に洗濯機を回して、走ってカサブランカについて、朝食を食べて稽古をして、一度帰ってまた夕食にカサブランカに戻る。
22日
初めてプールに行ってみた。
気温は2℃、プールは外にある。
ジャグジーで温まってからぬるいプールで泳ぐ。
水がからだの周りでいろんな渦を巻いているのを感じながら、上を向いたり下を向いたりして泳いだ。疲れたらサウナでだらんとして。
この日の夕焼けはとても鮮やかだった。
この日はオーロラも19日よりはっきり見えた。はためく緑の帯。風が強くて目をぱちぱちしてしまう、その中でどんどん姿を変える。
23日
キッチン当番の日。
15時からレイキャビクにドライブ。(なのでキッチン仕事は半日だけ!)
レイキャビクは可愛らしい町だった。クリスマス休みが明日から始まるので最後の買い物のチャンスとばかりに町が賑わっている。
美味しい魚介のスープを味見したり、編み物ショップを見たり、それから国立劇場を訪れた。国立劇場は内側の光をオラファー・エリアソンが手掛けている。グラスウォールは玄武岩の結晶を模していて、天井は多角形の鱗のような金属が銀や黒に光っている。
きれいだったけれど、あまり私の好みではなかったな。
外装の光はビッグカメラみたいに派手でちょっと残念だった。
レイキャビクに行ったのにあまり心惹かれるものがなくてドライブに行かなかったひとたちへのお土産が何もなく、せめて土産話をしようと帰りの車で辞書を引く。玄武岩という言葉を覚えた。
24日
作品について、つくること全体について朝から話す。
昨日みんなとレイキャビクに行って、辞書を引いたりして少し口が滑らかになったし、きっと朝からつくることについて話したからだと思うけれど急にひとりでみんなの作品の進捗を見に行きたくなった。踊るかも知れない教会とか灯台も見たかったし。
あまり風も強くないし寒くもないので軽装で携帯と鍵だけ持って出かける。
道中、Nさんとのパフォーマンスに良さそうな小屋を見つける。入り口から向かいに打ち捨てられた小さな舟がある。この舟の中で踊ったら素敵だろうな、でもそれじゃあ知っているなにかのイメージに似すぎてしまいそう。鍵が閉まっていたので窓から中を覗いてここでだったらできそうなことを頭に浮かべながら灯台に向かって走る。
灯台には誰もいなかった。灯台を見に来ている何人かの家族がいるだけ。ぐるっと灯台の周りを走って引き返す。
このあと結局誰にも会わなかった。
でも誰にも会わなくて、ひとりでみんなのやりかけの作品を見たり海を見たり、霧雨に打たれたりして、とても大事なことを自分のなかから拾い上げた。
ここに帰ってくればいい、という場所がまたひとつできた。
クリスマスイブパーティ、こういう場所にはちゃんとドレスアップをしてくるものだよね!ということが全然身についていない。いつもの作業着で参加。
美味しいご飯のあとカラオケが始まって(何故か「上を向いて歩こう」を歌うことに…)、夜中の3時まで踊りまくる。
25日
なんとか昨日の状態を明日のプレゼンに持ってゆきたいと状態を作ろうとする。
海に行くと風があまりなかったので、波の音を録音してみる。
灯台の光はこんなに遠くまで届いて、空や海だけじゃなくて足元まで照らしてくれるんだと知った。
26日
プレゼンの日。
半日中設営をしたりストレッチをしたりする。準備は着々とできたけど、やっぱり他のひとのプレゼンを見ている間にからだが固まってきた。でも大丈夫。
24日の状態に戻ろうとするが、やっぱりそういうことはやめようと思う。どこかの過去に戻るんじゃなくてただ自分のあるべきところのことを考える。できることしかできない。精一杯正直に旅をするだけ。
自分としては70%くらいの出来だったけど、みなさんが喜んでくれたので嬉しかった。
自分の身体に集中していたので他のみなさんのプレゼンに集中できなかったのが残念。
プレゼンの動画はこちら。