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いま何かを言いたいような気持ちがすごくしているけれど、わたしはこういう時に走らないほうがいい。
だいたい、大切なことはひとりで見つめるに限る。
ひとりきりで持っておけないような気がしてうっかり手を広げると、ぽとぽとと落としてしまう。落としたくないものはしっかり握り込んで染み込むのを待つ。
それがどこにも行かなくても、わたしだけはそのことを知ってる。
時間はそれを運び去ったりはしない、楔をきつく打ったみたいに、またそこに戻ってくることができる。

色が灯ったようなその瞬間を覚えている。
すぐに何も言えなくて、そのことばがもっと深くまでおち、奥底で動いたもののなりゆきが見えるまで、じっとしていたかった。
夕陽のような朝日だったのか、朝日のような夕陽だったのか、覚えていない。
きっとわたしの後ろからは、太陽は差し込んでいなかったはず。だってあそこに窓はないもの。
けれど、わたしはじぶんがおうごんにひかっているみたいにかんじた。


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