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人生初海外の入国審査で”別室送り”になり危うく強制送還されそうになった話
アメリカの入国審査は世界で一番厳しい
…と言われていることはもちろん知っていた。だから出国前の準備中、入国審査ではどのようなことを聞かれるのかなども調べていたが、入国目的と、滞在期間、宿泊先を答えられれば十分。と書いてあったから特に心配はしていなかった。
しかし、重要な点として入国審査を特に心配しなくていい人というのは ”普通の” 観光客に対してのことだということだ。疑われてしまうのはそれなりの理由があるからだと思うが、後になって考えてみると、確かに自分にはそれなりの理由があって、"普通の観光客” では無かったのだ。
”普通の観光客” は
・1週間程度の日数
・グループ旅行とか
・ちゃんとしたホテルに日数分泊まる
それに対して僕は
・観光だけど3週間
・一人
・宿泊先は初日しか取っていない
普通じゃないから疑われる
今回の旅はアラスカの大自然を楽しみたかったからキャンプがメインで、たまに街にいるときはホステルに泊まろうと思っていた。3週間という長い旅の旅程を事前に決めることは不可能だと思っていたから、天候や実際に現地の空気感、訪問先の土地の居心地とかを基に旅程を都度立てようと目論んでいた。
(ちなみに、宿泊先を初日しか取っていなかったのは、ESTAというアメリカに入国する際に必要な簡易的なビザを取得する際に滞在先の住所を入力しなければいけなかったから。)
そのため初日以外の宿泊施設の予約などは一切しないで旅に出た。
せっかく3週間もあるんだし、一人だから自由な旅を楽しみたいと思い、一般的には信じがたいクレイジーな行き当たりばったりの旅をあえて選んだ節もある。
しかし、それがいけなかった。結論から言えば、長い期間アメリカに滞在するのに宿泊先が曖昧だということがおそらくメインの理由で、不法労働を疑われてしまったのだ。
(アラスカの旅をするに至った理由、実際の旅の記録はこの記事から↓)
実際の入国審査を振り返る
この先は実際の入国審査がどういう流れだったのか、そのシチュエーションを詳しく書いてみる。
時は今年(2024年)8月、僕はアラスカに向けて旅立った。問題の入国審査は行きの経由地となったハワイのホノルル空港で行われた。
入国審査場にて
最初は他の人と同じように指紋と顔写真をとられ、上に書いたような簡単なテンプレート質問をされる。
「アメリカに来た目的は?」
「観光です。ハワイは経由地なので、今日アラスカに向かいます。」
「滞在期間は?」
「約3週間です」
「どこに泊まるんだい?」
「BASE CAMP ANCHORAGE です。(初日だけ泊まるホステル)」
「ここに3週間泊まるの?」
「いいえ。初日だけです」
……い~~や!この若い変な日本人怪しすぎる!!!!
と、このあたりで入国審査官は疑い出したのだろう。
対して入国審査はすんなり通れると思っていた僕はまさかこの先自分が別室に送られるとは思いもしない。
その後もいくつかの質問がされて、その都度審査官がパソコンに何やら文字をたくさん打っていたが、心なしか他の人より自分の審査時間が長い気がした。そして告げられる。
「こっちにおいで」
まだ状況を理解できなかった。言われるがまま、彼の後ろをついていくと、謎の部屋にいろ、と言われそこの椅子に座らされる。
ここで完全に理解してしまった。
その場所がいわゆる ”別室” であったのだ。世界一厳しいと言われるアメリカの入国審査にこの自分が引っかかってしまったのだ。
そこは病院の待合所みたいなところだった。長椅子がいくつか並んでいて、自分の他に2人いた。
初めての海外旅行で初っ端から未知の状況が訪れたので、信じられないほど不安になり「別室送り どうすればいい」とか「入国審査 引っかかったら」とかググろうと思ったが、その部屋はスマホが禁止されていた。
スマホも見れないし、「スマホ禁止」の張り紙しかない殺風景な部屋の壁を見つめること以外何も出来なかったことが余計に不安を搔き立てた。
そうしてどれだけの時間が経ったか分からないが、例の審査官が部屋に入ってきて、こっちに来い、と言う。ようやく疑いが晴れて入国できるのか、とか思ったりするがそんなことはない。
僕を導いて辿り着いたのは手荷物受取所だった。僕の預け荷物(でっかいバックパック)をピックアップして端っこの机のある所で尋問が始まった。
始まる尋問と荷物の入念な検査
ゴム手袋をつけた審査官が約20kgのバックパックの中身を満遍なく調べながらアラスカでのこと、プライベートや個人情報などの質問攻めを始めた。
今思い出せる限りでは、
・通ってる大学 (筆者は大学生)
・そこで何を学んでいるのか
・大学は9月から始まらないのか(アメリカの価値観で話されている)
・バイトはどこで働いているか
・バイトでは具体的にどんな仕事をしているのか
・所持金はいくらか
・そのお金はどうやって手に入れたか
・アラスカに行く目的は何なのか
・アラスカではどこに行くのか
・キャンプは普段から日本でやっているのか
・なぜ初日しか宿泊先を取っていないのか
・アラスカでは誰かと会う予定はあるのか
・アラスカの現地の人と今までに連絡を取り合ったことがあるか
・帰りの飛行機は取っているか
……などなど、質問は多岐にわたった。
(日本人の通訳を呼べたので何とかなった。これが全部英語ならちゃんと受け答えが出来ていなかったと思う。)
審査官は僕を不法労働者として疑っているため、特に経済面に関する質問が多かった。現金は成田空港で両替した800ドル(日本円で12万円分)を持っていた。3週間ではそれだけでは確かに足りない。しかし、クレカも持っていたので、それも告げたが、審査官は
「今アメリカは物価が高いのにこのお金で旅をしていけると思っているのか?アラスカの中を移動するのにもお金がかかるんだし…本当に足りるのか?」
と言ってきた。
「旅先ではクレカをメインに使います。現金の方がサブです。」
と言っても納得しない顔。
僕の60Lのでっかいバックパックを広げ、中身を調べる。ポーチみたいなのに入れていた封筒からそのドル札を出して1枚1枚チェックしていた。
財布の中とか細かいところも全部見られる。クリアファイルにまとめていたパスポートのコピーなどの書類も取り出され、持ち物についても一つ一つ詮索される。
バックパックにつけられたマットとか、テントや寝袋などのキャンプ用品を見れば僕が本当にキャンプをしたいのだと分かるのでは?と思ったがそううまくいかない。
「キャンプ場も予約が必要なところが基本だと思うが、それの予約もしていないんだね?」
「していません。しかし、その場に行かないと予約が出来ないキャンプ場も多いです。予約が必要なキャンプ場はアラスカの現地で予約します。」
とか言うけど、「ホントか?」みたいな態度を取られる。
この審査官はヒッピーとかバックパッカーとかを知らないのかと思った。確かに宿泊施設を予約していないのは普通ではないのかもしれないが、バックパッカーはその日の宿泊先をその日に決める人とかだっているし、なんで自分だけがこんな疑われなきゃならないんだ、という理不尽さも感じた。
アメリカのバックパッカーとか放浪旅とか、ヒッチハイク旅とか、そういう自由な旅が出来る時代はもう終わってしまったのだろうか?
だんだんと「ただ純粋にアラスカで自然に溶け込みたいだけの純粋無垢な若者がどうして初日からこんな目に合わなければいけないんだ!」とやるせない気持ちになる。
でもここで入国拒否で強制送還になったら今までの準備もアラスカへの憧れも何もかも水の泡になってしまうし、何より初めての海外旅行の初めてのイミグレで出鼻をくじかれたことが本当に悔しかった。
しかし、どんなに悔しくて理不尽だと思っても僕の入国を許可するか拒否するかを決めるのは目の前の審査官なのだから気持ちを逆立てるようなことは不用意に言えないのだ。
脅しに近い質問もされる
質問の最後の方には
「あなたが仮に私に少しでも嘘をついていたのなら救いようがない。入国は認められない。決して嘘をついていないと認めるか?」
とか、
「スマホの写真とかSNSとかメールのトーク履歴とか、私たちは全て調べることも出来るがそれでも嘘をついていないと言えるか?」
…などという脅しに近いことを言ってきたのでこれにはさすがに参った。
完全に容疑者の取り調べみたいな、もうテレビでか見たことないようなのが自分の身に降りかかって、そこまで問い詰められたらもう入国とか無理じゃん!という気持ちにすらなった。膝がガタガタ震えながらも、それを審査官に見られたら余計に怪しまれるんじゃないかと思う。
「私は決して嘘をついていません。あなた方が私を疑っているのは分かります。ただ、私は本当にただアラスカでキャンプを楽しみたいだけなのです。」
と、本当にありのままのことだが…意思を告げたら、ようやくのこと、入国審査をパスして入国することが出来た。
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別室送りを経験して分かったこと
…さて、以上が僕の人生初の入国審査なのだが、おそらくこの記事を見ている多くの人はこんな嫌な経験をすることは無いと思う。
別室送りになってしまう人の特徴
気を付けなければならないのは僕みたいに審査官が「ん?」と思う点がある人だ。
・宿泊先が曖昧
・一人
・滞在期間が長い
などが疑われる要因だと冒頭に述べたが、さらには次のような人も注意が必要だと思う。
・定職についていないような若い人
これらは全て不法労働をする人の特徴に一致している。
特に滞在先については入国審査で必ず聞かれると思うので、友人の家に泊まるなど訳があってホテル等を予約していない場合はその理由をしっかり説明できるようにしないといけない。
僕の場合、3週間の旅路で宿泊先を初日しか取っていないということに関しては、入国審査官の立場で考えてみたら疑うのも当然だ。これに関してはアメリカの入国審査を甘く見ていたのがいけなかった。
何度も言うが僕は本当にただ純粋にキャンプを楽しみたいだけのいち観光客にすぎない。しかし「不法労働者に見えてしまった」のなら、事実がどうであれ疑われてしまうのが現実だ。だから、入国審査の際には審査官に少しでも怪しいと思われることが無いようにしなければならない。
別室送りになる理由は他にも多くあり、以下のブログが分かりやすくまとめていたので参考までに。↓↓↓
最後に
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以上が人生初海外旅行の入国審査で”別室送り”になって危うく強制送還されそうになった話である。
アメリカの入国審査が世界一厳しいというのは身を持って証明できたので、まず疑われる原因自体を作らないことが大切である。一番大事なのは宿泊先をしっかり予約する事だと僕は思う。
次は西海岸の砂漠地帯(グランドキャニオン、セドナとか)を2週間くらいレンタカー借りて車中泊とかキャンプしながら放浪したいな~、とか考えていたけど、あの恐怖が頭をよぎったのでしばらくは諦めめざるを得なかった。(お金が無いのもあるが…)
別室送りはもう二度と経験したくない。いろんな意味でめちゃくちゃ怖い。
そして、疑いが晴れず入国拒否で強制送還になってしまった場合は、その旅が台無しになるだけではなく、次回以降のアメリカ入国にも影響が出てくるので絶対にそれは避けたいことである。
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