【月報】9月 花海咲季について
はじめに
地続きの暑さのなかにまだら模様で秋の色がついている。かと思えばやっぱりまだ全然夏。暑い。そんな日々を過ごしている。
夏という概念を愛してやまないインターネットキモヲタ(一人称)なので、好きな季節を問われるとずっと夏と即答していた。(もっと言うなら梅雨〜夏のはじまりが好きと答えることが多い)
けれど異常なまでの外の気温にすっかりやられてしまって、近年は冬の方に肩入れしつつある。クリスマスにバレンタインに誕生日という雨瀬的三大イベントが冬に固まっているというのも大きい。それに、秋から冬にかけては一番服がかわいいし、今年の誕生日にいただいた甘いバニラの香水もこれからの季節にぴったりだと思う。やっぱり夏より秋とか冬が好きかも。でも春も桜がきれいだし、ミモザの花モチーフの雑貨がたくさん出てくるから好き。梅雨は言わずもがな雨の季節なので大好き。
こう考えると結局すべての季節が好きなのかもしれない。というより、これから先の季節に思いを馳せ、楽しみを見いだすことのできる今のこの瞬間が。
瞬間を切り取る媒体としてはカメラが優秀だけれど、カメラはそのときの感情までは映してくれない。
だから文字にすることにした。
このnoteは、そのときの雨瀬が好きなもの、したこと、感じたことなど思いついたままに触れていこうと思う。
万年筆で日記帳の上を走るように迷いなく言葉を残せたらいいなと思う。できるだけ推敲せず、上手い言い回しを熟考することなく、インクが乾かないうちに世に出していきたい。
どこまでいっても雨瀬あめはバーチャルであり、インターネットを介してでしか誰かと繋がることはできない。
だからこそひとつくらいアナログ的なものが感じられる場所があってもいいかなーと思って、noteを書くことにした。
どこまで続くかは分からない。気分でやめるかもしれない。たくさん書く日もあれば数行で終わる日もあるかも。本物の日記帳のように身勝手なスタイルで運用することを許してね。
花海咲季について
※学園アイドルマスター 花海咲季の親愛度コミュ等の内容に触れています
花海咲季というアイドルに触れてからいつの間にか3ヶ月以上経っていた。
花海咲季とは、スマートフォン用アプリゲーム「学園アイドルマスター」のキャラクターである。
学園アイドルマスターとは、長い歴史を持つアイドルマスターの最新作として今年の5月にリリースされたアプリだ。
もちろん、学園アイドルマスターに触れる前からアイドルマスターというコンテンツのことは知っていた。長く続くことは無かったが他シリーズのアプリゲームをプレイしたこともあるし、浅い知識で好きだと思ったキャラクターも何人かいる。しかし、知った時にはすでに膨大なコンテンツ量があり、どちらかというとこういったアプリゲームにライブ感を求めている雨瀬としてはいまいち食指が伸びなかった。
そんな折、リリースされたのが学園アイドルマスターだ。
あの長い歴史を持つアイドルマスターシリーズの作品を一から追うチャンスだった。雨瀬はリリースまで公式情報をチラ見しつつ、しかし事前に深く追うことはせず、程よい距離感で学園アイドルマスターを楽しみにしていた。
そして、楽しみにしているのと同じくらい、自分好みのアイドルがいるか否かを気にしていた。
雨瀬は猛烈に好きになれるキャラクターがいないとコンテンツに長くハマれない傾向にある。どんなにシナリオが良かろうと、イラストが美麗で音楽が素敵であろうと、自分の琴線に触れるただひとりのキャラクターが存在しなければ長く楽しめることはなかった。
それは長い間オタクをしてきた上での傾向から得た結論だ。
だからこそ、新しいコンテンツを開拓しようといった機会で自分好みのキャラクターがいるか否かはとても重要だった。
ひと目で大好きになれるキャラクターがいなくてもいい。見た目が好きな子、声が好きな子、シナリオを読み進めるにつれて深みにハマっていきそうな子、楽曲が好きな子、何かひとつでも引っかかる子がいればいい。祈りにも似た思いだった。
そんな不安をいとも簡単に蹴散らしたのが、花海咲季だった。
アプリを初めて開いたときの長い長いロード画面のなかで、炎のような赤いサイリウムをめがけて歩いていく彼女の背中が見えた。
これは、花海咲季の初期SSRを育成しトゥルーエンドを迎えたあとに見ることのできる彼女のオリジナル曲「Fighting My Way」のライブ映像だ。曲調や衣装も含めて雰囲気はK-POP寄りで、かなり高度な曲。
各アイドルたちのソロ曲はリリース前に公式YouTubeチャンネルでアップロードされていたのだが、キャラクターを知らないうちに曲を聴く気にはなれなくて雨瀬はなんとなくスルーしていた。でもそれで正解だと思った。
不意打ちで浴びた花海咲季のライブ。シンプルな初見の感想は、とてつもなくかっこいい。強い。これだけ。
雨瀬が愛してやまないハロープロジェクト、特に℃-uteのライブ映像を初めて見たときに似た衝撃があった。
花海咲季はどちらかというと顔立ちに幼さが残っており、声も鼻にかかったようなあまい声をしている。おまけにアイドルの見本みたいな小柄で華奢な体格をしているので、正直、マイクを持って左右に揺れてるだけで充分満足できるくらいのアイドルとしてのポテンシャルがある。めちゃくちゃかわいい。
そんな彼女が堂々とステージの上でステップを踏み、手足をめいっぱい動かして、挑戦的に歌っている。そのギャップがたまらなかった。
まるで戦いの場にいるかのようなギラついた表情が特に印象的だった。
結局そのロード画面のライブ映像は途中で途切れてしまうため、そのまま全貌をみることは叶わなかった。それが逆に雨瀬の気持ちを奮い立たせた。はやくこの子のライブを全部見たい! はやくこの子のことが知りたい! たった一瞬でそう思った。
ロードを待つ時間に随分と焦らされたのもいい思い出かもしれない。
他にどんなアイドルがいるのかさえ分からなかった。
けれど、絶対に花海咲季を一番にプロデュースしようと決めた。
そこから転がり落ちるのはあっという間だった。
イベントコミュ、プロデュースコミュ、親愛度コミュ、サポートカードコミュ……読み進めていく度に花海咲季のことを知っていけた。
大抵のものはなんでもすぐに上達してしまう。しかしある程度まで行ってしまうと伸び悩んでしまう。いわゆる超早熟型。
だから一番が取れたらすぐ別の世界に飛び込む。大器晩成型のライバルであり妹である花海佑芽に追い越される前に逃げる。
そんな自分を「偽物の天才」だと卑下する彼女が、悪あがきと称して挑むアイドルへの道。
プロデューサーという形で彼女と関わることになるプレイヤー(自分)は、強くて自信家で努力家で完璧とも思える彼女の弱さをどんどん知ることになる。
しかし、最初のライブ映像を浴びた時点で、すっかり「アイドル 花海咲季」のファンになっていた雨瀬は少し複雑だった。
厄介な思考であることは百も承知で、弱い部分を見たくなかった、というのが正直あった。ずっと、かっこよくて完璧で最強な花海咲季でいて欲しかったのかもしれない。
弱みを吐露する場面でさえ、彼女はいつもと変わらず自信満々な姿だ。弱みは開示しても、弱音を吐くことはしない。
自分の弱いところはここだ、とはっきりと言えるのが彼女の強さの証なのだろうし、素直にかっこいいと思う。
けれどアイドルヲタクというのは本当に身勝手で、人間に、高校に入学したばかりの16歳のただの女の子に偶像を求めてしまう。
だってずるいじゃん。
最初にあんなかっこいいライブで釣っておいて、今さら花海咲季のことをただの女の子として見れるわけがない。
花海咲季の弱い部分が嫌だとかそういうことじゃないのは声を大にして言いたい。彼女もひとりの人間で、悩みもがく姿もまた魅力的であることはわかっている。
わかった上で重ねて言う。
雨瀬は、プロデューサーとして花海咲季という人間を好きになる前に、先にファンとして花海咲季というアイドルを好きになってしまった。
彼女がこうやって弱みを見せるのはプロデューサーの前だけで、きっとファンの前ではそんなことおくびにも出さないのだろう。
だから学園アイドルマスター世界線のモブファンが少し羨ましかった。花海咲季の葛藤も悔しさもなにも知らないまま、彼女が貫くアイドルとしての姿だけを都合よく感じてみたかった。彼女を囲む赤いサイリウムのひとつになりたかった。
しかし、アイドルマスターというコンテンツの仕様上それは叶わない。
プロデュースし、導き、共に歩み、ファンに見せない素の部分を愛しながら、アイドルとしての彼女たちを輝かせなければならない。
彼女をプロデュースすると決めたのは他でもない自分だから、止まるわけにはいかなかった。最初に惹かれたあのライブをまだ見れていなかった。
それから雨瀬は何度も何度もプロデュースを重ねた。他のアイドルたちには目もくれず、開始当初は花海咲季だけのプロデューサーとして日々を過ごした。
そのおかげか、花海咲季の親愛度10解放、トゥルーエンドを迎えるのにそう長くはかからなかった。(学マスをインストールした時、ちょうど入院をしていて時間をたっぷり割けたのが大きかったのかもしれない)
ここからは、雨瀬が親愛度コミュの中で特に印象に残った部分について語っていく。
プロデュースを進めていくと、ストーリー内での時間軸も少しずつ進んでいく。入学してから、最初の挑戦である初(はじめ)公演までの数ヶ月。
その数ヶ月間で、花海咲季は決して手を抜かず、万全の状態でレッスンを重ねてきた。その努力の甲斐があり、花海咲季のステータスを示す五角形はお手本のような綺麗な形をしている。
しかし、それの更に外周を走る五角形が花海佑芽。花海咲季が一度たりとも負けたくなかったはずの相手。
そう、花海咲季は(明確な勝負を経てはないものの)花海佑芽にストーリーの途中で既に負けている。それは誰よりも咲季自身が分かっていた。
だからこそ更にストイックに、焦りを滲ませながらレッスンする姿にプロデューサーは心配をする。
そこからはじまる咲季とプロデューサーの、それぞれの想いがぶつかり合うシーンが最高に熱くて大好き。
プロデューサーにとっての「花海咲季を勝たせる」とは、「花海咲季をトップアイドルにすること」
つまり、トップアイドルにするためなら道中がどうであろうと構わない。最終的に花海咲季が輝くのなら、プロデューサーにとってはそれは勝利なのだ。
対する咲季は、それを真っ向から否定する。
強者のような風格は微塵もなく、そこにいるのはただただ負けず嫌いな女の子だった。
これまでのストーリーをフルボイスで追ってきて、花海咲季はいつも……なんというか、時に平成アニメのツンデレヒロインのような、時に分かりやすいかませ役の悪役令嬢のような、演技がかった喋り方をしているなと感じていた。
もちろん雨瀬からしてみれば花海咲季は二次元の存在なんだけど、二次元の中の更にもう一歩先にある作りもの感が漂っているというか。花海咲季の性格や能力、振る舞い方や日々のルーティーンがリアルな人間感を薄くし、余計にフィクションのようなフォルムを作り上げているのかもしれない。
だからこそ、このシーンの咲季の喋り方にはっとした。
鋭く切り込むような声だった。咲季がプロデューサーとのこれまでの会話のなかで見せたかわいらしい怒り方とは全く違う。
今まではどんな言葉を発しようとも、悪役顔負けの笑い方をしようとも、そこに鋭さやトゲトゲしさは全くなかった。咲季独特の甘いかわいらしい声に柔和な色が絡んだ台詞回しだった。(他のうまい言い方が見つからないので台詞回しと表現する)
発言自体は好き嫌いが分かれそうなものが多いのに、不快にはならない喋り方。絶妙なバランスをもって花海咲季というキャラクターのテキストは保たれていた。
親愛度コミュの終盤になるまで、こんな、ひっくり返るくらいに強く投げられた声は聞いたことがなかった。
咲季の声を取り巻く二次元キャラクターめいた雰囲気はごっそりと剥がれ落ち、芯に残った甘ったるい声が切ないくらいに震えながら言葉をなげこんでいく。
これまでにないくらい必死に「負けたくない」と叫ぶ咲季は、実年齢よりもずっとこどもっぽくて、なんなら赤ちゃんのように感じた。恥も体裁もなく、まっさらな産声のようにストレートな主張だった。
「負けたくない」という気持ちで飛び込んだアイドルの世界。咲季にとってこの言葉がアイドルとしての産声なのだろうと思った。
こんなにまっすぐに伝えられたら、たとえ沈みゆく泥舟だと分かっていても何も言えなくなる。少なくとも雨瀬はそう。ここまで見てきたアイドルの、原動力ともいえるその感情を否定することはしたくないしできない。導く立場としての理性が人間の情に負けて諦めてしまう。
けれどプロデューサーは違った。
その場の情に流されず、プロデューサーとして、その先の未来を見据えて咲季にいま必要なものを伝えた。
負けたくない気持ち自体は否定することなく、けれど負けという段階を踏むことを肯定する。「負け」に意味を与える。
たとえば、プロデューサーが咲季の気持ちを最大限に尊重して、無理を重ねる彼女を見守っていくのももしかしたら正解の道かもしれない。逆に、咲季との間に深い溝ができるのを覚悟で敗北を味合わせるのもひとつの道だと思う。
しかしこの先のトゥルーエンドへと向かうには、このプロデューサーの行動が最適解だったのだろう。
更にプロデューサーは言葉を重ねる。引っ張りあげるように力強く。
当然、プロデューサー=プレイヤーなのでボイスなんてものはついていないけれど、きっとここのくだりは咲季と同じくらいの、あるいはそれ以上の熱をもって言葉を発していたんじゃないかな。
だからこそ咲季は打ち明けたのだと思う。「怖い」と。
負けたくない、その気持ちの根っこにある部分はすごくシンプルなもの。(ここの流れはもし良かったらゲームをプレイして確かめてください、激アツだから)
紆余曲折あり、咲季の口から「もう逃げない」という言葉を引き出したプロデューサー。
この瞬間から、名実ともに咲季とプロデューサーは同じ夢を追いかける仲間となったのだと思う。
えーーーーと、少年漫画ですか?
シンプルな感想は、これ。
美少女に好かれまくるギャルゲーをプレイしていると思ったらいきなり友情努力勝利の三原則を忠実に守った少年漫画を読んでいた……みたいな展開。
ずっと忌み嫌っていた「負けること」が、その花海咲季をトップアイドルに押し上げるための一歩の、最後のピースとなる。
彼女のステータスの五角形は大きな凹凸もなく満遍なくきれいなかたちをしている。けれど多分、真ん中に欠けた部分があった。それは人間誰しも人生のうちに早い段階で味わうことになる敗北で、咲季にはそれが足りなかった。
その最後のピースがかちりとはまった今、五角形はその分押し上げられて、頭打ちかと思われた咲季の力のその先が見えてくる。
花海咲季は学マス初期の構想ではライバルキャラとして作られていた。その名残りもあって、ストーリー上で主に妹に対するムーヴは敵役のそれでだった。
それなのにここにきて花海咲季は急激に主人公としての輝きを放っていく。歩んでいくストーリーだってこんなにも王道展開だ。
その後、花海佑芽との直接対決がどうなるかは自分の目で確かめて欲しい。本当に。ガチで。お願いいたします。
そしてトゥルーエンドを迎えた先、大きなステージでサイリウムに囲まれながら歌い踊る花海咲季。
雨瀬が焦がれたその姿も、是非見て欲しい。
トゥルーエンドを見たあとに初めてちゃんと最初から最後までライブを見た時、普通にボロ泣きした。
ゲームに触れる前の名前のない自分が花海咲季のライブを見たときよりも、プロデューサーとして花海咲季のことを知った今の方がなんっっっっ倍も感情が昂る。
モブファンになりたいとか前言撤回します。すみません。
これからも雨瀬は花海咲季のプロデューサーで、いちばんのファン!
花海咲季というアイドルの存在はもちろん、花海咲季というアイドルでいてくれる咲季も、だいすき。
無敵のトップアイドルにしてみせます。
おわりに
最初のnoteなのに長くなりすぎた。
最初の「推敲はしない」「そのまま世に出す」という宣言はどこにいったのか、結局このnoteを書き上げるまでに3日ほどかかっている。
いちばん最初のテーマに花海咲季を挙げたことが原因だとは分かっている。けれど止められなかった。いまいちばん熱を持って書き進めることができるコンテンツが学園アイドルマスターだし、存在が花海咲季だから。
次は10月にnoteを更新する予定。もしかしたらその間に書きたいことが出てくるかもしれないし、インク切れを起こして10月末までなにも生まれない可能性もある。そこはもう自分の衝動に従うしかない。
このnoteの冒頭を書き始めてから、いまこうして締めくくるまでの間に、金木犀の香りのルームフレグランスを買って部屋に置いた。
外は変わらず夏の盛りのような暑さだし、相変わらずくたばっている。けれどドラッグストアを覗けば金木犀の香りで満ちているし、服屋を覗けばこっくりとした深い色のニットが幅を利かせているし、百均を覗けばハロウィン一色だ。季節の境目のそんなアンバランスさが嫌いじゃないな。
せめて、次にこのnoteを更新するときくらいには、人間の季節感の先走り癖に太陽が追いついてきますように。
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