ハイハットでわかる最新US音楽トレンド2020年2月版
おはようございます、バーチャルシンガーソングライター赤坂まさかです。音楽聴いてますか?
USを知れば日本が知れる。
というわけで今回は「ハイハットでわかる最新US音楽トレンド」と題して、音楽にあまり詳しくない方でもそうでない方も実際に音楽を聴きながらアメリカの音楽トレンドがわかるようなそんな記事を書いてみます。
(手っ取り早く要旨を読みたい方は最終章まで飛ばしてください!)
第1章 なぜアメリカの流行が重要なのか?
結論から言います。「2年後に日本でも流行るから」です。
なぜかは全然分からないけれど、音楽もファッションも日本はアメリカのちょうど2年遅れなんですね。不思議。
これは逆に言うと2年後の日本の音楽の流行を予測できるのでなんだか楽しいですね。
ところで、2020年の日本の音楽トレンドはどうなるでしょうか? 2年前の2018年の音楽チャートを見て予測してみましょう。
出典 https://andmore-fes.com/71400/
Drake - God's Plan
言わずと知れたラッパー、DrakeのGod's Plan。わたしはこの曲はちゃんと聴いてはいなかったのですが、かっこいいです。多幸感あふれるパッドのコードとかわいいTR-808のカウベルとトライアングルの音。ドレイクのフロウも軽快でビートにハマっています。サウンドもかなりドライで軽めで浮遊感があります。
もしゃもしゃしたパッドの音色や明るい曲調、軽快なビート感はOfficial髭男dismに通じるところがありそうです。
Kendrick Lamar, SZA - All The Stars
こちらはケンドリック・ラマーとシザのAll The Stars。歌はシザ、ラップはケンドリック・ラマーですね。この曲も軽やかでぽこぽこした音が特徴的です。ベースに低音のシンセパッドを使うのもOfficial髭男dismに通じるところを感じます。
Daddy Yankee - Dura
レゲエですね。TikTokで流行ったそうです。知らなかった……。もしかしたら日本でも今年レゲエが来るかも。虹色侍さんとか……。ただこういったヒップホップのビートに近いレゲエも新鮮で良いですね。ジャーラスタファリ。
Cardi B, Bad Bunny & J Balvin - I Like It
こ、これはかっこいい……。ラテン調かと思いきやトラップが始まる……。これもDuraみたくラテンですがどちらかと言うとクンビア的な方向性ですね。2020年は世界で民クルが来るらしい(https://wired.jp/2020/01/03/minyo-crusaders/)ですので、そういうコラボレーションもあるかもですね。炭坑節の間でバチバチにラップして欲しい。
Bruno Mars - Finesse (Remix) [feat. Cardi B]
ブルーノ・マーズのビートはKing Gnuに通じる気がしているのは強引でしょうか? この曲のグルーヴはほぼVinylだし、24K Magicはほぼ白日だし、The Lazy SongはTeenag…… すみません、なんでもないです。
Childish Gambino - This Is America
チャイルディッシュ・ガンビーノのディスイズアメリカ。この曲好きです。ゴスペル調のイントロから銃声とともにごりごりのトラップに変わる。シスタークレア様のイメージソング「DOGMA」を彷彿とさせますね。わたしもカバーしました。今年、他にも誰かやりそう。やるとしたらKing Gnuかなぁ……。
……というふうに、2018年はAvicii的なEDMやマルーン5的なエレクトロ・ロックの陽キャな香りを残しつつ、徐々にトラップに傾倒し始めた年と言えるでしょう。
それに比べると最近のアメリカの音楽チャートはもう完全に『陰』です。
第2章 最近の流行は陰キャに優しい
陰陽道ではないですが、太陽と月が交互に出るように、音楽のトレンドの陰と陽もだいたい10年ごとに入れ替わるようです。60sロックンロール(陽)→70sHR/HM(陰)→80sパンク(陽)→90sグランジ(陰)→00s EDM(陽)→10s ヒップホップ(陰)的な(怒られそうだけど)。
2020年は10sの流行りを受け継ぎつつ、よりディープな陰になって行きそうです。
それを代表するのがご存知、ビリー・アイリッシュでしょう。
Billie Eilish - Bad Guy
ベッドルームの歌姫で、お兄さんと2人で曲を制作していたそうな。MVでは部屋着を着て鼻血を出してます。かわいい。日本で言うとちょっと病んでる系なのでしょうかね。
極端に少ない音数、ASMRのようなささやく歌唱。泉まくらさんを彷彿とさせます。
それを筆頭に、最近のUS音楽チャートを見てみると、最小限のキックとクラップしかない非常にシンプルなビートと、そのビートにはまらないルーズなフロウ、倦怠感溢れるマイナーなコード。そして何よりめちゃくちゃサウンドが重い!! リル・ピープが生きてたらもっととんでもないことになってたかもしれませんね。
今日の世界チャートで一位になっていたのはRoddy Ricchの「The Box」。こちらも非常にシンプルなビートで、とにかくサウンドの重心が低い。最近はみんなイヤホン、特にAirPodsで聴くからそういうマスタリングにしていると聞いたことがあります。なるほど。
第3章 4年前に世界を席巻したトラップとは?
とても分かりやすく言ってしまうと、TR-808(ヤオヤ)のハイハットをチキチキ言わせながら遅くて重いベースとキックを鳴らすヒップホップです。特に流行ったのがMigosのBad and Boujee。これが2016年です。ポストマローンのrockstarは2017年。この時期がトラップの全盛期だった気がします。
その2年後の2018年。日本でもハイハットをチキチキ刻むブームが到来しましたね。米津玄師とdaokoの打上花火では冒頭からハイハットがチキチキ言ってます。ハチとdaokoが一番流行るなんてめちゃくちゃインターネット。ピコ太郎のPPAPは2016年でめちゃくちゃTR-808をフィーチャーしているのでかなりアメリカのトレンドを拾っていたことがわかります。
最終章 ハイハットでわかる最新トレンド
で、最近。なんとハイハットのチキチキが減ってきているのです。
トラップではここぞとばかりにハイハットが緻密にプログラミングされていました。8ビートに細かく16分音符を混ぜ、時には連符を混ぜて複雑なリズムが組み立てられていましたが、最近のトレンドではほぼ8分音符のみ。小節の最後でちょっと刻む程度。先述のThe Boxがまさにそうで、Bad Guyは曲終わりがそんな感じ。
さらに、USランキング2位のA Boogie Wit Da HoodieのNumbersはハイハットのピッチを変えています。これはLil Peepもやってた手法で、ただ刻むのではなくハイハットのピッチを変化させて一癖あるビートを組み上げているのです。
また顕著なのは、曲中で全く違うビートに切り替える手法。FutureのLife Is Good (feat. Drake)では途中でテンポまでガラッと変わります。こちらでもハイハットのピッチを変える手法が使われています。Bad Guyも曲終わりで突然別の曲が始まったかのようにビートが変わります。これを日本でやっていたのは小袋成彬。名盤『分離派の夏』収録のLonely One feat.宇多田ヒカルで聴くことができます。
長くなっちゃったのでおわり!
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