独身アラフォー女性の奮闘記#20 七転八倒で五里霧中の恋
随分と時間が空いてしまったのは、気持ちの整理がつかないまま、吐き出し方もわからないままでこの数週間を過ごしていたから。
そう、私会ったんです。キングクリムゾンさんに。会ったら自分の気持ちがもう少しクリアになるかと思っていたのに、当日は再会する前からモヤモヤすることが多かった。帰って来てからはジェットコースターみたいな気持ちの上がり下がりでずっと酔ってるみたいな感じだ。
まあ聞いてくれ、私の心の叫びを。
私は古書より下の扱いなのか
私の最寄駅で会うことになっていたので、結局ヤリモクなのかなってそれだけで気分もうだだ下がりだったわけだが、当日の昼間に、何時頃仕事が終わるかと言ったやり取りをした。
時間はこちらの指定で良くて、お店も私が選んで良いって言われたのだけど、なんか全部丸投げされている感じであんまりテンションが上がらなかった。
挙句、夜遅くに打ち合わせが入ってしまったから、私は気にせず飲んでも良いけど、彼はその日、お酒は飲めないという連絡が来た。
この時点で「私は仕事よりも優先順位が低いし、仕事を建前に早く切り上げて帰るつもりなんだ。だったらうちの近所じゃなくても良いのにね」という気持ちになったと同時に、「ヤリモクじゃないのか」という少しの安堵があった。
そして待ち合わせの時間の少し前に「近所で古本を売ってから行こうと思ってたら、査定に思いの外時間が掛かってて遅れてしまう。ごめん」という連絡があった。
仕事より優先順位が低いのは、まあ、いくらか譲って理解できる。でも私って、売りに出す本よりも後回しにされる程度の女なんだ…。そう思って、もう全然、会えるのが嬉しいなんて気持ちにはなれなかった。更には電車の乗り継ぎがうまくいかなくて、到着予定時刻はどんどん予定より遅い時間になっていった。
なんで私はこんな気持ちになってまで、また彼に会いたかったんだっけ?
そんなことを思いながら、泣くのはまだ早いと自分に言いきかせて駅へと向かった。
本能には抗えないんだ
私とキングクリムゾンさんは、2回しか会ったことがない。そして彼のLINEにはアイコンが設定されていないし、TinderなんてLINE交換して数日後にブロ解されてたから、もう顔もそんなにハッキリと覚えてもいないくらいに、時間が経ってしまっていた。
駅に着いたという彼を改札の近くで探したけど、私は見つけることができなかった。
電車が到着した後の人の波が過ぎ去って、どこにいるのと連絡しようとしたら、LINEで通話が掛かってきた。電話に出る直前に、本物の彼が「待たせてごめんね、ひさしぶり」と笑顔で声を掛けてきた。
この人、こんなに背が低かったっけ?
こんな顔してた?
私はあんなに恋しくて、会いたかった人との再会のその時、頭の中にクエスチョンマークがたくさん沸いたのだった。
でも、彼の笑顔を見たら、あぁ、キングさんだなぁと思った。語彙力どうした。
小麦粉を控えてるとか女子みたいなことを言うので、イタリアンやお好み焼きは排除して、焼き鳥か焼肉どっちがいい?と聞いたら、焼肉がいいと言うので、私の街イチオシの焼肉店に連れて行った。
ここ最近どうしてたとか、仕事がどうとか、近況報告をしながらご飯を食べた。
ご飯を食べている時に、お箸を持つ手や、横顔のライン、笑った時の口元とか、やっぱり好みだなぁとぼんやり考えてた。
焼肉で満足した後、打ち合わせの時間までまだ余裕があると言うので、二軒目にコーヒーでも飲む?と連れて行ったお店でも、隣に座ってるその人に触れたいな、という気持ちが湧いてきたけど、私は彼がどういうつもりかはわかっていないので、我慢した。
私は、動物的な本能で彼に惹かれてるんだと思う。あと、会話のペースや内容が心地良い。あまりにも心地良すぎて、肝心なことを聞き忘れてしまった。
実は、2度目に会って関係を持ってしまった後、何日も何日も未読スルーしていた後に送られて来たLINEで、昔付き合っていた人から復縁を迫られていて、迷っていたと言われていた。それが後ろめたくて私に連絡できなかったと。
有識者の皆様からは「言い訳だ」「フィクションだ」「クソ野郎だな」など色々なご意見を賜ったが、私はどうかそれが本当のことであって欲しいと思っていた。連絡がなかった理由が、嘘であって欲しくなかったから。
そして久しぶりに会ったら「その彼女とはどうなったんですか?」と絶対に聞くつもりだった。
なのに私と来たら、結局浮かれて、そんなことはすっかり忘れてしまっていた。
おばか!!!!!!ばかばか!私の大馬鹿者!!
バレンタインの贈り物
二軒目を出る時に、実家に帰っていた時のお土産を持って来たと言って、ささやかながら頂き物をした。
彼は私に会う前の週まで、暫くご両親の都合で実家にいたそうだ。その「前の週」は実はバレンタインデーがあったので、私も近所にある有名なパティスリーでオランジェットを選んで用意していた。
オランジェットにしたのは、小麦粉を控えてると言われていたからで、焼き菓子やマカロン以外で、なおかつあんまり本命っぽく見えないチョイスが良いなと考えた結果だ。
バレンタインのプレゼントなんて全然貰えないからとても嬉しい、と言っていたけど、今でもそれに対しては「嘘ばっかり!」と思ってる。
話を少し遡って、古本を売ったのも部屋を片付けたいからと言っていた。その話の時に、仕事仲間の昔からの男友達と弟くらいしか家に来たことがないくらい狭いから、とも言っていたけど、それも本命の女性くらいは連れ込んでるんでしょ、という気持ちで聞いていた。
こんなにチャンスが沢山あったのに、なんで私、昔の彼女とはどうなったんですか?の一言が言えなかったんだろう…。
道なりにはお店、駅、私の家、の順番だったので、駅の改札まで見送ってお別れしようと思っていたけど、駅前で彼から「家の前まで送るよ」と言われた。最初は断ったけど食い下がられたので、快く家の前まで送られることにした。
本当にマンションの前で、「今日は久しぶりに会えて嬉しかった。またね」と言ってお別れをした。もっと一緒にいたかったなぁ、と思いながら、私は自分の部屋までの階段を上がった。
家に着いて、靴とコートを脱いで、PCデスクに腰をかけてキーボードの上につっぷした。
結局、私たちはなんなんだろうか?
彼はどうしてまた私に会ったんだろう?
なんで私との約束の夜に仕事を入れたんだろう?
どうして家の前まで送ったの?(駅でバイバイでよかったのに)
そんなことをモヤモヤ考えて、会う前と同じような、うっすら悲しい気持ちが込み上げてくるのを感じた。
一喜一憂と心の渓谷
キングクリムゾンさんは、毎回全額ご馳走してくれるので、今回も上記のつっぷしタイム後にお礼の連絡をした。
打ち合わせが終わった頃に、彼からも返事があって、オランジェットが大好きだから早速食べてるという他愛もないLINEが届いた。
私はなんだか普通の恋人みたいなやり取りになるとすぐ浮かれるので、彼が喜んでくれているのが嬉しかった。
さっきまで相手の気持ちが見えなくて悲しくなっていたのに、このやり取りの後には、もしかしたらこれからは誠実に向き合おうとしてくれているのかもしれないなんて、都合のいい解釈までしていた。
期待なんか、するだけ無駄なのに。
その後数日間、連絡はなく、ここでまた短気な私が顔を出してしまった。会った時に面白かったよ、と言われた漫画を週末に読破したので、その漫画を読んだ報告と、感想をLINE3行くらいで送った。するとそれにはレスがきて、お勧めして良かった、と言った内容だった。
それっきり、彼からは連絡が来なくなった。
私は、自分から連絡をすると返事を期待してしまうので、極力連絡を取らないようにしていた。
でも、やっぱり1週間、2週間と時間が経つと、忘れられてしまうんじゃないかとか、また会いたいのにな、という気持ちになって、不安になる。そして、彼にとって私はそんなに頻繁に連絡したい相手ではないんだな、と、どんどん悲しい気持ちになってしまう。
だから、週末気分転換で美術館に行ってきた。その展示が思いの外とても良かったので、美術館にもよく足を運ぶと言っていたキングさんに、その美術展が良かったから、興味があったら行ってみて、と連絡をしてみた。
結果は、何日も未読スルーのまま。確定申告で忙しいのかもしれない。仕事が凄く忙しいのかも。でも、そんな数行のLINEを見ることもしないくらい時間がないわけないのよ。
やっぱり脈なしだね。悲しいな。
こんな気持ちになるなら、あのまま2度と連絡なんかなくてよかった。
もう会わなければよかった。
私はなんで彼を好きになってしまったんだろう。
同棲してた元彼と別れた時、こんなに苦しい思いをするくらいなら、恋なんてもうしなくてもいいかなって思った。結婚も出産もあの時に半ば諦めたのも事実。
でも、次こそは幸せになりたいなって、願ったりもしてた。
それなのに、結局、また悲しみを味わってるんだよ私は。
自分は、自分の好きな人にとって、全く特別ではないことを思い知ることが、こんなにも苦しいなんてさ。
それも、知ってたんだけどな。
だから、安易に人と関わらないようにしてた。相手を選んでるつもりだった。
私は正解がわからない。
でもさ。
結構頑張ってひとりで逞しく生きてきたよ?
そろそろ、私の幸せを、一緒にしあわせと言える人が現れても良いんじゃないかな?とか考えてしまうよ。
期待なんかしちゃダメだったのに。
何度同じ轍を踏んだら学ぶんだろう。
孤独は静かに日々の幸福を蝕む
それでもね、私は幸せな人間だって自覚はある。
家族にも友人にも恵まれているし、昔に比べたら仕事も天国みたいな環境だし、衣食住には困ってなくて、趣味も充実してる。
たけど最近、愛犬がいた頃のことを頻繁に想うようになった。あの子が居た毎日が、どれだけ幸福だったことか。わんこの温もりと愛情で、私がどれだけ満たされていたかを思い知る。
彼女の不在は、私に旅行や外出の自由を与えてくれてるのも事実で、老犬になった彼女の介護をしていた時期に比べたら、友達と出掛けることも増えた。
オンラインゲームで知り合った人たちとの交流も増えた。
だから本当は孤独ではないのだけれど、気持ち的に、私は子供の頃からずっと孤独だったことを、愛犬亡き今、しみじみと感じる。
「孤独」は理解されないことも含まれるし、物理的にひとりぼっちなのもそう。
私はシンプルに寂しくて、誰かに一緒にいて欲しい。願わくば、その人達が同じような価値観を持っていて、摩擦の少ない関係を築けたらいい。
そんな中に、異性がいてくれたら頼もしいんだけどな。
やっぱり、自分で思うより全然、私に魅力なんてないんだろうな。
みたいに!!ネガティブなことばっかり考えてしまっているから!筋トレします!!(唐突)
痩せて綺麗になって自信を取り戻したい!!
あわよくば、私を古本以下の扱いをしたあの人を見返してやりたい!
もう、一喜一憂するの、疲れた。
好きじゃないなら、さよならしてよ。
私の幸せを減らさないで。
こうやって、ひとりで生きていける強い女に仕立て上げるのをやめて。
強い女なんかいないし、面倒くさくない女も都市伝説だよ。みんな、そう見えるように努力してるだけ。
私は、キングさんに恋をしてる自分のことは嫌いじゃなかったけど、今の自分はちょっと好きになれない。
今日、ホワイトデーだけど。何もないだろうな。期待なんか、もう2度としてはダメだよ。
うまくまとまらないけど、それくらいこころが散らかってるってこと。
気持ちがもっと整理できてきたら、続きを書こうかな、と思う。気長に待ってて欲しいな。