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ショートフィルム【曇天模様の私の歌】制作に寄せて

静岡市街の片隅にある小劇場BAR『あそviva!劇場
…の、即興的映像作品制作企画 シネマdeVIVA!express 

ババン!

プランゼロから半日でショートフィルムを創ってみる
そして、それを劇場内ですぐに上映する…
映像作品づくりにスリリングに触れてあそんでみよう!
という一般参加型イベントです📹

想定スケジュール バババン!

映像制作に限ることでもないですが、

どうなるかわからないけど
どうにかしてなんらかの形にしてみる
そしてそれをながめてみる

即興的な詩や音楽、絵画や造形物のように、
それが形として残るのが大きな特徴のひとつ。

映像の場合は結果として
映りこんだ街や自然、ひとやどうぶつたち、またこのために創ったりしこんだりした、ありとあらゆる事象を含めて、小さな小さな歴史の欠片になっていくのが、この企画を愛おしく思う(きつくても続けてしまう)理由でもあります。

小劇場が、
誰にとっても生まれたものを劇的に発表する場になれば嬉しい!
それを特別なことではなく、もっとカジュアルな場にしていきたい。

現実はさておき
そんな風に、思うことは自由なのであります。

はい、
そんなわけで。

2024年最後の作品となった、
同年11月に制作した本企画作品の振り返りnoteを書いてみます。

制作日当日の朝。
今日どうしよう?朝会議はライブ配信で行いました。

進行の中で
この日は「原作のある作品を元にした制作」を行うことが決まったこと、
制作日の数日前、谷川俊太郎さんがお亡くなりになったこと、
そしてこの日は朝から雨が降っていたこと。

などのことから
最終的に作品のタイトルが『曇天模様の私の歌』に決まりました。

朝会議を経て、つらつらとメモられたあれこれがこちら

だれか作品創りに関与してくれないかな~?ということで、
SNSで、雨の日のポエムも募集することに。

と同時に、
タイトル決まったけど、
どう作っていくかは何も決まっておらず、
原作ありの、その原作はどこから引っ張ってこようというところから。

原作あるものをどう扱うか、というのは非常に気を遣うところ。
面倒だからこういう時はパブリックドメインを扱うようにしています。

で、パブリックドメインになっているポエム。
最初はあまりピンときていなかったものの、
少し調べただけでブワーッと出てきます。
今思えば百人一首とかから拝借しても良かったかも、とも。

近代の有名な詩人のひとり、中原中也。
今を生きる私たちの言葉とも近く、2024年現在すでに人類の共有財産となっているギリギリのラインでいうと中原中也の生きた時代ということになりそうです。
今思えば同郷(私は岩手県北上市の生まれ)の宮沢賢治でも良かったかも、とも。

まあなぜか、
このときは割とまっすぐに中原中也に気持ちが向かいました。

まず、中原中也が雨の日の詩を創作しているのかどうか。
イメージ的にはありそう。

探すとすぐに出てきた。

詩の名前は『曇天』。
探していけばもっとありそうだ。
ただ、ここで深追いすると作品の完成が夜に間に合わない。

ところで
中原中也のルーツはなんだろう。

気になって調べてみた。

宮沢賢治の詩集「春と修羅」が愛読書だったらしいということと、そのさらに前にはフランスの詩人、アルチュール・ランボー、ポール・ヴェルレーヌらの影響を強く受けたとある。夏には山口県にある中原中也記念館で企画展も開催していたようだ。

フランス。

今(2024年11月20日現在)、
ちょうど静岡市がホストの第8回・日仏自治体交流会議の会期中。
街にはトリコロールカラーのデザインがあちこちに。
たまたま、そんなタイミングでした。

これは街に撮影に出てから気がついたことで、
よし、フランス押しで行こう!となりました。
行き当たりばったり。

なんとなく、
ランボー、ヴェルレーヌ、中原中也リスペクトの映像作品を試しに創ってみよう、というような、今作の方向性は確定していたので、ちょうど良い!

ランボーは「l’éternité(永遠)」
ヴェルレーヌは「Chanson d’automne(秋の歌)」
そして中原中也は「曇天

を、悩んだ末、昼までの段階でこれらをピックアップ。
各ポエムをテキストにおとしこみ、撮影の下準備。

ランボーにいたっては
ちょっと深掘り(具体的にはl’éternitéの和訳に関してあれやこれや)をし始めてこれは(時間的に)まずい!となり…

撮影前になんとなく頭におさめたこととしては

「永遠」で 明々とした自我の熱量を提示しつつ
「秋の歌」で 過去に囚われながら憂鬱に物悲しく吹き飛び
「曇天」で ぶれない自分を静かに確認する

よし、そんな構成で映像化しよう!

などという、
計画性のかけらだけ携えての撮影スタート。

いや、まてまて!
このポエム群を、誰かに読んでもらわねば…

すぐに思い浮かんだのは、あべよしみさん。

不躾ながら、ダメもとでメール相談…
すると「午後の時間なら大丈夫!」とのお返事が!
ありがとうございます!Merci !

これは素晴らしい作品になる!
少なくともヴォイスとポエムに関しては!

やるしかない☔いい作品になんとか近づけよう📹

プラプラと、
フランスっぽさを静岡市街でキャッチすべく
雨の中の撮影を進めていったのでした。

フランス国旗をまとった竹千代像に義元公の像、
そういえば駅南の彫像はルノワールだった、
偶然開催日と重なった まちかどコンサートでは、アコーディオンデュオ fennel のお二人がミュゼット(パリ・カフェミュージック)演奏中だった、などなど…

竹千代(幼少の家康公)と義元公
fennelのお二人のミュゼット!皆さん聞き入ってました。

少し歩けば、
静岡の中のフランスを感じる瞬間がたびたびありました。

と、同時に常に頭にまとわりついてくる、
これを映像作品にどうやってまとめるんじゃーと深まる一方の迷宮感。

なんとか夕方までに劇場に戻り、編集作業開始。

この日はまったく別の配信イベントもあって、
この企画に集中できる時間は限られていました。
まあ、わかっていたことですが、
夜の作品完成&上映まで時間がとにかくありません。
それなのに、詩の原文ものせなきゃと、フランス語のテロップも用意して…

そして、
これはほんとにありがたいことに、
SNSで募集した雨の日のポエムに、「ミライサーカス みむら」さんからの詩の投稿も届いていて、よかった、参加してくれる人がいた!嬉しいな!
と、これも作品集の中に取り込んだりして…

案の定
完成版とはいかぬまま、
ドラフト版と称し現状を上映。ライブ配信にものっけました。

夜の作品上映会では
毎回ライブ配信でも作品&アフタートークを開催。

今回の作品創りもたいへん鍛えられました。
完成版として間に合わなかったのは無念ではあったものの、
ポエムの世界になんとか寄り添おうと、
雨に濡れながらもスマホで撮影しつづけた思い入れ深い作品の一つになりました。

限られた時間の中で素晴らしい朗読を届けて下さったあべよしみさん、
応募情報をキャッチして答えてくれたミライサーカスみむらさん、
この度はありがとうございました!

翌日公開となった完成版は、こちら。


年をまたいでから
過去の制作回を振り返るのはなかなか大変です💦
もっと早くレポートしておけばいいのに、
なかなかそれができない私です。

2025年になって
初めてのシネマdeVIVA!express開催日は1月11日(土)。
朝9:10からまた新たな「今日どうしよう?朝会議」が始まります。
そして、夜20:00には「作品上映会」。

今度はどんなドラマが生まれるのか。
楽しくできたらいいなあ。


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