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【DX#42】DXに固執する愚かな日本小売業 顧客志向の進化を見据えるべき理由

 DXは、今や日本の小売業界で重要な課題として掲げられています。しかし、アメリカの小売業に目を向けてみると、DXという言葉自体を意識している企業は少なく、「DXを推進する」というよりも、自然な進化としてテクノロジーを取り入れているのが現状です。アメリカの小売業における「DX」とは、顧客中心のイノベーションの一環として行われており、顧客体験の向上や業務効率の改善を第一に考え、デジタル技術の導入が進んでいます。

 例えば、WalmartのBOPISや、Amazonのレジレスシステムや生体認証システムの導入は、顧客の利便性を高め、競争力を維持するための「顧客志向のイノベーション」です。これを日本流に「DX推進」と位置づけていない点が特徴的であり、むしろ日常の業務改善や競争戦略の一環として自然にデジタルを取り入れています。アメリカでは、最終的な成果として顧客の満足度が向上することが評価されており、それがビジネス成長にも直結しているのです。

 一方、日本の小売業は「DX」の言葉に固執するあまり、「顧客のため」という視点を見失いがちです。たとえば、DX化の名のもとにシステム導入を急いだ結果、現場のニーズや顧客体験が考慮されていないシステムが導入され、かえって効率を損ねるケースも少なくありません。顧客が求めているものは、単に最新技術を導入することではなく、その技術によって「便利になった」「買い物がしやすくなった」と実感できる体験なのです。

 今後、日本の小売業がDXを成功させるためには、「顧客志向のイノベーション」という視点を持つことが重要です。顧客が本当に価値を感じること、そして長期的な競争力を見据えた「小売の未来」を考えることで、DXという言葉に縛られない柔軟なデジタル戦略が実現できるでしょう。

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