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フライボール革命が招いた誤解

このnoteは、東大野球部に学生スタッフ兼アナリストとして所属する私、齋藤周が、日々の練習内容や気づいたことをメモしておくためのものです。

「バレル」は誤解されている

野球好きの人なら一度は聞いたことがあるであろう「バレル」。MLBのアストロズで導入され、そのアストロズがワールドシリーズを制覇したことで話題となったフライボール革命とともに、この「バレル」も一時はバズワードになっていました。

しかし、このバレルという言葉はしばしばその意味を誤解されています。まずはバレルの意味を確認しておきましょう。

MLBの公式サイトによれば、バレルの定義は以下のように書いてあります。

The Barrel classification is assigned to batted-ball events whose comparable hit types (in terms of exit velocity and launch angle) have led to a minimum .500 batting average and 1.500 slugging percentage since Statcast was implemented Major League wide in 2015.

要は、「打率.500以上かつ長打率1.500以上となるような打球速度と打球角度の組み合わせ」のことなんです。これがバレルの本当の定義です。

あれ、バレルって打球角度30°付近のことじゃなかった?と思っていた人も多いのではないでしょうか。そういう方は、以下のような図が印象に残っていたんだと思います。

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(出典:日刊スポーツ「長打率高くなるバレルゾーン/フライボール革命」

これは、MLBで打率.500以上かつ長打率1.500以上となるような打球を分析した結果、バレルゾーンは30°付近になったという話です。打球角度30°となるとかなり角度のついたフライなので、ゴロを打つのはやめてフライを狙っていこう、となったのがフライボール革命です。

しかし、こういう経緯を飛ばして「打球角度30°のことをバレルと呼ぶらしい」というのが伝わり、誤解を産んでしまっているというわけなんです。(2:55〜、かの有名な「トクさんTV」でもそんな感じで説明されていました・・・)

バレルのモデルはMLBのNo.1よりもエグい

ただ、一旦冷静になって考える必要があります。そもそも打球速度98マイル(158km)ってめちゃくちゃ速くないか?!というところです。

NPBでいうと、2019年のオールスター前のホームランダービーで平均打球速度の測定が行われ、トップは柳田選手の164kmでした。しかしこれはホームランダービーの話ですから、シーズン中でいうとこれよりはだいぶ遅いはずです。

また、MLBでいうと、2020年の打球速度ランキング1位であるフェルナンド・タティスJr.の平均打球速度は、95.9マイル(=154km)です。すなわち、フライボール革命のモデルとなる選手の打球速度は、MLBのトップより速いというわけなんです。

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もちろんこれは平均値ですから、メジャーリーガーの中には200km近いような打球速度を記録した選手もいます。ですが、フライボール革命が仮定している打球速度はこのくらい高い水準にある、ということは理解しておかなければなりません。

さて、ここまでバレルゾーンやフライボール革命の誤解を解いてきました。じゃあ結局どこを目指すべきなのかというところは、また次回のnoteで書いてみます。ぜひそちらもごらんください!

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