ファンとは言えないかもしれないけど、本当に好きなんだよ。
僕はクアイフ(Qaijff)というバンドが好きだ。
軽快なテンポとちょっとハスキーな声、染み込む歌詞。どれも良い。最近は仕事中もずっとヘビーローテーションしている。
僕のイチオシは「meaning of me」だけれど、はじめての人には「愛を教えてくれた君へ」もいいかもしれない。
ずっとクアイフの曲を聴いているのだけど、僕はクアイフについてほとんど何も知らない。僕が知っていることといえば、愛知出身のバンドであること、ボーカルが「森さん」ということくらいだ。こんな基本的な情報すら、YouTubeでMVを見ているときに概要欄で知ったくらい、僕は何も知らない。
でも僕は3年くらいクアイフの曲ばかり聴いているし、周りの人に薦めたりもしている。家でBGMをかけるときは大抵クアイフだし、前述したように仕事中も聴いている。
この関係性はなんなのだろう?
ファン、とは少し言いにくい。ファンが対象の名前すら知らないことがあるだろうか? CDもオンラインでしか買ったことがないし、なんならメジャーデビュー後の曲はApple Musicで聴き放題だから「買う」という具体的な行為すら消えてしまった。
「ライブに行かなくても、メンバーのことを知らなくても、曲が好きならファンだよ」なんて優しいことばをかけてくれる人もいるのかもしれない。もしかしたら、クアイフもそう思っているのかもしれない。
でも、僕はこの位置が好きなんだ。
ただ曲を聴いている人。誰が、どんな背景を持って作っているのかも知らずにただそこにある音楽に惹かれている人。それ以上踏み込まず、知ろうともせず、ただ、ライブラリに入っている曲を延々と回す。新曲が出たことを知るのはApple Musicのサジェスト。もし何かのドラマでクアイフの曲が流れたら「なんか聴いたことあるな」としばらく考えたあと、Google検索を通して知って驚くのだろうし、紅白初出場となったら人並みに喜ぶと思う。うちにはテレビはないけど、実家で「これ昔から好きだったんだよ」なんて他愛もない話をしながら見ることになるだろう。
そんなゆるいつながりもいいんじゃないか、と最近思っている。
ファンとは言えないかもしれないけど、それでも、本当に好きなんだよ。