恋の速水に落ちにけり
運命のひとを見つけました。
お名前すら分からないその方。
でもきっと素敵な方だと思います。男性で、たぶん貴族と思います。上品でインテリだと思います。きっとエロいと思います。
日課の古今集の「いちご訳」をしていたら、見つけました。
たぎつ瀬のなかにも淀はありてふを
などわが恋の淵瀬ともなき
なんですか、この方。あゝ刺さってしまいます。一体どんな方なのでしょう。すごく頭のいい方です。この技巧、冷静に見えて瞳の奥が狂気に染まっている。
「ありてふを」ですよ? 「ありてふを」
ふわっと緩やかに手を差し伸べておいて、「などわが恋の」と問いかけてくる! 責任をなすりつけています……! しれっといやらしい性格です。陰湿な気配がしている。こんな、こんなお歌いただいたらもう、一発で落ちるに決まっています!
速水さん(詠み人知らずなのでつけました)、あなたと恋の深みにはまりたい……!
「よど」と「など」で韻まで踏んで、全体は全て水の縁語でまとめあげ。掛詞派の多い中、きらりと光るこの知性! だけど心は濁流に呑まれて、でもどうせこんなの嘘。こんな冷静な男が(男性だと思いますね!)そうそう我を忘れるものですか。
どうせ嘘だと分かっていても、その嘘になら、流されていい。
でも一人で流されるのなんて御免被ります。
あなたが言い出したことですよ。あなたの脚を引っ張ってともに落ちよう……!
速水さん……どんな方なんでしょうか。一体誰に贈った歌なのですか。ときめきと妄想が物狂おしい今日この頃です……!
延喜のひとへとて、令和の田舎人、詠める。
年月は千代の淵瀬を繰り返し
我こそ落ちめ君が速水に
学は瀬より浅けれども思ひ極まりて、返す。
令和のただびとの歌にては、あまれりや、足らずや。
速水さん、好きです……! もっと勉強して、いい歌詠みますね……!
和歌上達のキモは恋とみました。
きみの速水に流されたい……
あ、速水さんも見ているかもしれませんので、こちらは自己紹介しておきますね。
こちらは令和の自称作家で、あまおう まあお と申します!
ツイッターでもフォロワーがんがん募集中。代表作は「名前泥棒」です。
もうすぐ長編をネットで公開する予定です。(特に速水さんは)よろしくお願いします!