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お姫さまたちにみる人生の動かし方〜①ラプンツェルさん

この世にはたくさんのお姫さまがいるのだと思います。

前回登場したのは、とてもとても臆病で自分から塔に引きこもり続けてしまうお姫さまでしたけれど。

そんな臆病なお姫さまも、少しずつ外の世界に目を向け始めました。

自分以外のこの世界の姫たちは、どうやって生きているんだろう?どうやって人生動かして、幸せになりました、という展開になっているんだろう?と。そして、自分の求める幸せって何なんだろう?と。

そうして、この世の中のいろいろな物語に代表される姫たちについて、少しずつ知ってみようと動き始めていきます。

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さて!
そんなこんなでスタートしたこの企画。
よく知られている物語を代表するお姫さまたちについて、考察してみたいと思います。

☆はじめに☆
・時々、おひめさま以外の物語の登場人物についての考察も入ります。
・時々、偏った主観が入ります。
・原作の違いによって物語の細かい部分や発言は違っていることもあるかと思います。ご了承ください。
今回参照させていただいた本は、
「はじめての世界名作えほん20  ラプンツェル /ポプラ社」です。

それでは、いってみたいと思います。


★おひめさま① ラプンツェルさん★

『ラプンツェル、ラプンツェルお前の髪をたらしておくれ』というフレーズでよく知られる、ラプンツェルのお話。
その主人公とされるのは、ラプンツェルさんです。

彼女は、王子さまと会っていたことを魔女に知られてしまい、長年伸ばしていた長い髪を短く切られ、住んで居た塔から追い出されてしまいます。
荒れ果てた野原で雨にうたれ、寒さに凍え、お腹をすかせながらもなんとか暮らし、双子を出産し、子どもを育てながらたくましく生きぬきます。
そしてついには、王子さまと再開し、王子さまの故郷へ行き、そのお城でいつまでも幸せに暮らしたと言われています。

そんなラプンツェルさん。
生まれは、普通のご夫婦の一人娘さんです。

ラプンツェルさんのお母さまが隣の人の畑のラプンツェルをどうしても食べたいというので、お父さまが勝手に畑に入って採り、食べさせてあげます。
一口食べるとまた食べたくなってしまう野菜のようで、どうしても食べたい、食べないと死んでしまうとお母さまは言い、お父さまは再び無断で畑に入ってしまいます。
しかし、その時、魔女でもあったその畑の持ち主に見つかってしまい、咎められます。

お父さんは、お腹に赤ちゃんのいる妻が食べたいというのです、と許しを請います。
すると、許してあげるとおばさんは言います。そして、好きなだけ野菜(ラプンツェル)はあげるから、その代わりに娘が生まれたら私によこしなさい!と。
ラプンツェルのお父さんは、その魔女と言われているおばさんが恐ろしいあまり、そんな約束をしてしまうのです。

こんなやり取りから、この物語はスタートします。

そして、無事にかわいい女の子が生まれます。
すると約束通り、隣の怖いおばさんがやってきて、赤ちゃんにラプンツェルと名付け、約束通りこの子はもらうよ!と女の子を連れていってしまうのです。

その女の子がラプンツェルさんです。
生まれは、普通のご夫婦のもとに生まれましたが、生後間もなく、他のおばさんに名前をつけられ、もらわれていきます。
そして、12才になったときから、森の中の高い塔で暮らすことになります。
その塔には扉も階段もなく、窓がひとつあるだけ。
やってくるのは森の動物や鳥たち。人間はおばさんしかやってきません。

そして、髪を長く伸ばすように言われているのでしょう。長く伸ばした髪を伝い、おばさんは、ラプンツェルのもとへと登っていきます。

髪、痛くないのでしょうか?
という突っ込みは、置いておきましょう。

そうして、森の生き物やおばさんとの暮らしを長いことしていました。

反抗することも、その塔から出たいと思うこともなかったのでしょう。ラプンツェルさんは、疑問をもたず、まっすぐ育っているように思います。

けれど、とある日、大きな出来事が起こります。

王子さまという名の男が!
おばさまと同じ方法を使って、おひめさまの元へとやってきます。

え?!誰?!と驚いたことでしょう。

始めてみる男性だったでしょうし、物心ついてから始めて見るおばさま以外の人間だったのでしょう。
けれど、ラプンツェルはその人を受け入れます。
おばさまには内緒で王子さまと結婚し、塔で会うようになるのです。

ラプンツェルさん、簡単に人を信じすぎではないでしょうか?!
王子様、その行動はいかがなものでしょうか?!
魔女の真似をして、勝手に塔に登るだなんて!!と、
私的には突っ込みどころ満載なわけですが。
恋してしまった2人には関係なかったのかもしれません。

そんなわけで、深い仲になっていた2人。
けれどある日、ラプンツェルはうっかり口を滑らせてしまいます。

どうしておばさまは王子さまよりもずっと重たいのでしょうね、と。

おばさま、激怒!!!
です。 

かわいいかわいいラプンツェル。
作中では、「お前を世間の人間たちから引き離しておいたのに、よくも私をだましたな!」とありますが、
外との関わりを断絶させるように、護るように、大事に大事に塔に閉じ込めていたようにも思えます。

それなのに、何も知らないはずだったのに、
そのラプンツェルが、王子さまと言った!
しかも私に内緒で!!

何事くわあああーーー!!!と、
荒れ狂い、怒り狂うおばさま。


それは怒り狂うでしょう。荒れ狂うでしょう。
お気持ち、お察しします。

怒り狂った挙句の果てに、ラプンツェルの長かった髪を切り、塔を出て、荒れ野へと連れていって放り出してしまいます。

塔から出してくれるなんて、おばさま、なんていい人!とか思ってしまうのは私だけでしょうか…。

そうして、ラプンツェルを追い出した後、おばさまの怒りは王子さまにも向かいます。

王子さまがやってくるのを待ち、ラプンツェルの切った髪を垂らし、ラプンツェルの代わりに、返事をします。

そして、それを伝い登ってきた王子さまの前に姿をあらわします。

え?!かわいかった僕の妻ではない!!!
何事?!と王子は驚きます。

そんな王子に向かって、
もうお前のかわいい妻はいないよ!
とおばさまは言い放ちます。

よくも私のラプンツェルをたぶらかしやがったな!!とも言ったのではないかと私は妄想します。

そうして、王子はあまりの悲しさとショックのあまり、塔から飛び降りてしまいます。

ええ?!飛び降りてしまうの?!大変!という突っ込みも置いておきます。

飛び降りたものの、王子さまは一命はとりとめた様子。けれど、いばらのトゲが刺さり、目が見えなくなってしまいます。
そしてそのまま、森の中をずっと彷徨い続けることになるのです。

おばさまの静かな報復だったのでしょうか。
といっても、おばさまは何もしていません。
まるで恐ろしい魔女!という風に描かれてはいますが、王子さまが勝手に飛び降りちゃっただけなのです!!
親に内緒で知らない男を家に上げ、しかも勝手に深い仲になっていた娘に怒り、追い出し、勝手に娘の家に上がっていた男に、娘はもういません!と言っただけです。

おばさま、何も悪くないのでは?と思うのは私だけでしょうか…?
まあ、そんな突っ込みもさておき。

目が見えなくなり、その果てに森を何年も彷徨ったけれど、かなりしぶとく!生きていた王子さま。
なんと、愛していた姫に再開するわけです。

ラプンツェルも王子さまだということに気付き、介抱してあげたのでしょう。

お話では、ラプンツェルの瞳から流れた涙が王子さまの両目に落ち、そのとたん、王子さまの目が開き、また見えるようになりました、という奇跡の展開を迎えます。

そうして、ラプンツェルとラプンツェルの子どもたちを連れて王子さまは国に帰り、お城でいつまでも幸せに暮らしました🌈

というミラクルな展開で物語は閉じられます。


ラプンツェルは、髪を切られ、荒野に追い出されましたが、こどもを産み、双子のお母さんになり、たくましく、生き延びていたわけです。

すごい生命力!
すごい精神力!

それが誰のこどもだったのか?!
本当に王子の子だったのか?!
どうやって、荒野で生き延びたのか?!
など、いろいろと気になるポイントはあります。

ひとまず、何も知らなかったと思われたラプンツェルさんですが、かなり様々なスキルを磨いていたのでは?と思います。

塔で一人で生活できていたわけですし、お裁縫とか、機織りとか、料理とか、森の中の塔で一人で暮らすスキルや知恵はたくさん磨いていたのではと思います。
それに特筆すべきは、12歳になってから塔に閉じ込められた、というところ!   

その年齢までは、おばさまと一緒に塔ではないところで暮らしていたのだと思われます。
おばさまとの2人暮らし。
その中で磨かれてきた家事スキルがあったのではないでしょうか。加えて、魔女と言われていたというおばさまと一緒にいたわけですから、薬草の作り方や、食べられる植物、毒になる植物などにも詳しくなったのでは?と思います。

そして、そんな中で動物たちや目に見えない存在とも通じ合えるようなスキルも磨かれていったのではと思います。

だからこそ、荒野に追い出されても、様々な知恵を駆使し、もしかすると森の動物たちにも助けられ、生き延びていたのではないかな?と思います。

それにしても、出産って、一人でできるものなのでしょうか…しかも双子!
立て続けに出産です。すごすぎます。
若かったとはいえ、ものすごい肝っ玉の持ち主なのでは?!などと、ラプンツェルさんという人の性格をさまざま妄想してしまいます。

こうしてみると、ラプンツェルさんは、けして、ただ待っているだけの臆病なおひめさまではない、ようです。

荒野に放たれても、助けと許しをこいに戻ってきてしまうような子ではなく、
なんとか荒野で一人で生き延びれちゃうバイタリティがある!
しかも出産して子育てもしちゃうバイタリティもある!
かなり強靭な精神力をお持ちの女性だったのでは?と思います。 

すごい人ですね。

魔女と呼ばれているおばさまも、お話の中では悪役に描かれていますが。
たしかに、ちょっと無茶振りな面もあるかもしれませんが、実は単なるお節介ないい人なのでは?と思ったりします。

だってラプンツェルを美しい娘にちゃんと育ててくれたわけですし、12才までは塔に閉じ込めてないわけですし、ただ単に、悪い虫からかわいい女の子を守りたかったのでは?などと考えたりもします。
守りたかったのに、へんな虫がついちゃったものだから大激怒!!しかも内緒にされたから尚更!!だったのかもしれません。
娘さんを持つ母として、なんとなく気持ちはわかります。お察しします。
単にいじわるで恐ろしい魔女、というわけではないように思うのですよね。
魔女びいきが強い私です。

そして1番突っ込みたくなってしまうのは王子さまです!
勝手に侵入し、姫をたぶらかし!
まあ、最後には、ラプンツェルに豊かな城での不自由のない暮らしをプレゼントしてくれた、のかもしれませんが。いろいろと許せないポイント多し!個人的にです(笑)

王子さまのお城に行ったとはいえ、たくましいラプンツェルは、この先も、ただのほほんと過ごしてはいかないような気がしました。

城から出て、たくましく人のためにできることをしながら生きていきそう。
そして、おばさまにも、元気ー?!とか言って会いにいっちゃいそう。
実の両親のところにもいって、お世話とかしちゃいそう。

ラプンツェルさんは、たくましくバイタリティに溢れている人のように思いました。

始めは、人に与えられた人生ではありましたが、そんな逆境を逆境とも思わず、その中でまっすぐ素直に生きていくことで道が開かれていったのかなと思います。 

そうして、身についている生活スキル、生き抜くスキルは、高し!です。

どんな環境の中あろうとも、現場でできることをしていくこと、何かを身につけておくことは大切だな、と思いました。 


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今回のラプンツェルさんのお話はここまで。

ラプンツェルさんの人生に学べることは学んでいきたい!とひそかに思う臆病なお姫さまなのでした。