Ken Ishiiインタビュー「当時は音楽マニアにしか知られていなかった」Juno Daily2024年8月26日公開
日本のテクノ界の伝説的アーティスト、Ken IshiiがJuno Dailyに登場
1994年、日本のエレクトロニック・ミュージックシーンにおいて画期的な2枚のレコードが、この8月にオリジナルのレーベルMusicmine/SublimeRecordsから再発されます。Ken Ishiiの『Reference To Difference』と故・横田進の『Acid Mt Fuji』は、1994年6月29日に同時にリリースされ、当時発展し始めていた日本のテクノシーンに大きな影響を与えました。今回、横田進の作品についてはAlex From Tokyoが解説を執筆した後、Ken Ishii自身にインタビューを行い、その当時のことを振り返ってもらいました。
— 今日はどちらにいらっしゃいますか? どんな1日を過ごしていますか? どこかに出かける予定は?
今は東京の自宅にいます。今日は平日なので、新曲の制作をしたり、週末に予定しているギグやラジオ出演の準備をしたりしています。あと、筋肉のリハビリに通っています(大したことはないのでご安心を)。数週間前にはジョージアのトビリシで素晴らしいライブをしましたし、あと2週間でヨーロッパのいくつかの国を回る予定です。
— 『Reference To Difference』が30年ぶりに再発されますね。振り返ってみて、どんな気持ちですか? 制作当時のことを覚えていますか?
当時は20代前半で、大学を卒業して1年後のことでした。その数年間で人生は大きく変わり、会社員からプロのアーティストになったので、その時期のことはよく覚えています。このアルバムは、ベルギーのR&Sレーベルから国際的にリリースされた最初のアルバムの直後に制作したものです。
ヨーロッパや北米では、アルバムやPlus 8での12インチリリースで名前が知られるようになっていましたが、まだエレクトロニック・ミュージックシーンは小さく、音楽マニアにしか知られていませんでした。この『Reference To Difference』は、日本の初期テクノレーベルの1つからのリリースで、日本のシーンが成長し始めている兆しを感じました。
— アルバム制作にはどのくらい時間がかかりましたか? 最初と最後に制作した曲は?
制作にはおそらく半年くらいかかりました。当時はフルタイムのアーティストではなかったので、仕事の後や週末に制作していました。最初に作った曲は「Fading Sky」で、最後に作ったのは「Into The Inside」です。
— 『Acid Mt Fuji』と同じ時期にリリースされたのは象徴的ですね。SublimeのパーティーやManiac Loveでの思い出、横田進との関係について教えてください。お互いに影響を与え合っていましたか?
Maniac Loveの初期、特にSublimeのパーティーは、アーティスト、レーベル、ジャーナリスト、ファンが集う場でした。横田進とは、そこでや日本国内のギグ、さらにはヨーロッパのいくつかの場所で会いました。彼とは友達でしたが、どちらかと言えばお互いアーティストとしての仲間という感じでした。音楽制作やツアーのこと、レーベルとのやり取りについてよく話していました。彼はとても静かで控えめな人でした。僕より10歳以上年上だったので、一緒に飲みに行くことはあまりありませんでしたが、常にお互いの活動に影響を与え合っていたと思います。
— 早い段階でベルギーのR&SやドイツのHarthouseでリリースしていましたが、日本のレーベルでのリリースについてはどう感じていましたか?
90年代初頭だったので、インターネットやEメール、WhatsAppもなかった時代です。ヨーロッパのレーベルとのやり取りは簡単ではなく、高額な国際電話やファックスが頼りでした。それに、当時は僕の英語もあまり上手くなかったので、日本のレーベルとの方が意思疎通や議論がスムーズでした。
— 両アルバムはアンビエントやアシッド、テクノを自然に融合していますが、当時、他のシーンではこれらのスタイルが明確に区別されていましたよね?
ハウスやテクノが生まれた当時、エレクトロニック・ミュージックは新しいムーブメントとして受け入れられていたので、日本ではまだジャンルに細かくこだわる文化はなかったんです。他のアーティストもいろいろなスタイルをミックスしたアルバムを作っていましたね。
— 現在の音楽活動について教えてください。
まず、ジャズピアニストの坂本雅樹とのフルコラボレーションアルバムがほぼ完成しています。僕にとっては大きな挑戦です。また、ブラジルのAnderson Noise、アメリカのDavid Castellani、ベルリンのYuadaなど、テクノアーティストとのコラボレーションにも取り組んでいます。他にもソロEPやコンピレーションへの楽曲提供が今後リリースされる予定です。
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