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JOHNS 特集 ここまで進化した補聴器と人工内耳診療

2022/1/14発売の本特集の感想をまとめていきたいと思います。
あくまでも個人的な感想であり、内容詳細は原典を参照くださるようお願いいたします。
目次は以下のとおりです。(太文字が感想記載済みです)


難聴対策の現状

  • Marke Trak EuroTrak, Japan Trak

  • 難聴対策推進議員連盟と Japan Hearing Vison

  • 難聴・補聴器と認知症

  • 補聴器相談医 認定補聴器技能者と補聴器購入助成制度

  • コロナ社会と難聴者-マスクなどによる難聴者への弊害

補聴器の最新情報

  • 補聴器の適応・選択とフィッティング理論

  • 補聴器の特殊機能

  • 補聴援助システム

  • スマートフォン対応補聴器

  • 軟骨伝導補聴器

  • 特殊な補聴器

  • 耳鳴治療用補聴器

人工内耳の最新情報

  • 人工内耳の電極とスピーチプロセッサの進歩

  • CT・MRI の蝸牛 半規管 3次元構築による人工内耳埋め込み術前評価

  • 人工内耳埋め込み術中・術後のトラブルの対策一予防と治療

  • 難聴遺伝子の各タイプ別人工内耳術後の聴覚・言語発達の比較

  • 両側人工内耳と両耳聴効果

  • 内耳奇形 蝸牛神経低形成小児における人工内耳手術後のの聴覚・言語発達

  • 発達障害児の人工内耳一療育と教育

  • 小児と成人の人工内耳と音楽聴く歌う、演奏する

その他の最新話題

  • Charcot-Marie-Tooth auditory neuropathy に対する人工内耳と補聴器

  • 視覚聴覚二重障害と人工内耳による聴覚の再獲得

ここからは各パートについての個人的な感想です。
引用箇所は『』で括っています。

Marke Trak EuroTrak, Japan Trak

難聴と認知症の関係性が高いことから、各国で補器市場における消費者追跡調査が実施されており、各国の調査結果を対比させています。

  • アメリカにおいて、日本と同様に公的保険制度による補聴器の購入については公的補助はない。

  • 補聴器購入に際しての耳鼻咽喉科受診率が、欧州各国と比較して日本が一番低い。
    その結果なのだろうか、補聴器の満足度、補聴器装用率はさらに低い。

  • 補聴器購入のための公的補助について、日米が自費(あまのじゃく注:各自治体で補助はあります。また、片耳しか出ないと言う声をたまに聞きますが仕事・生活上必要であることが認められれば両耳に対して補助が降りることもあります)に対して、デンマーク・ノルウェー・英仏は100%

  • 公的補助を受けられるのは、デンマークなど欧米は40dB以上から(両耳かどうかは不明)に対して、日本は両耳70dB以上。

アメリカの補聴器への公的補助については、現在バイデン政権がビルトバックベター法案を進めており下院は可決しましたが、上院で滞っておりその行方が注目されています。以前まとめたメモを参照下さい。

https://note.com/amanojaku_0124/n/n6d512b177dce

補聴器の適応・選択とフィッティング理論

  • 現在メーカー共通でフィッティング(増幅法)ソフトに搭載されている処方式である NALとDSLについて解説されている。明瞭度を最大にするという目的は同じ。日本語に対して最適かどうかは明らかではない。(モデルにした言語に日本語が含まれていない)

  • NAL-NL2:オーストラリア国立音響研究所(NAL)が開発したノンリニア増幅(NL:小さな音を大きく増幅、大きな音は小さく増幅)の処式で性別や装用経験の違いを反映させたバージョン2となる。増幅された音声全体としてのラウドネス(音の大きさの感じ方)が正常者の感じるラウドネスを超えない。この条件の範囲で語音明瞭度が最良になる。前記2つの条件を満たす増幅特性を多数の聴力図からモデル計算したもの。

  • DSL v5.0:カナダの西オンタリオ大学で開発され、音声スペクトラムの全体が難聴者の可聴範囲に入ること、そして音声信号が各周波数帯で正常者と同じラウドネスで聞こえるように増幅することをコンセプトにしている。語音の物理的信号を可能な限り難聴者が聞こえる範囲に増幅することを重視している。

  • 日本語対応への取り組みとして、オーティコンなどが取り組んでいる模様です。


人工内耳の電極とスピーチプロセッサの進歩

  • 電極については手術方法の変遷について述べられています。『「低侵襲」の人工内耳手術が騒音下の聴き取りや音楽の聞き取りに貢献する』とあり、手術の際の確認ポイントであると感じました。この場合、コクレア社のハイブリッドシステムの装用が想定されると思うのですが日本では取り扱われていないようです。https://youtu.be/CkhasGCPogw

  • スピーチプロセッサについては、コード化についての説明はあまりなかったのですが、パルス刺激が用いられることによって、『十分な周波数分解能が得られるようになった』としています。コード化については人工内耳友の会 東海支部のHPに貴重な資料が残っており参考にリンクを貼っておきます。http://www2u.biglobe.ne.jp/~momo1/sub1/new_sub/140421watanabe1.htm

両側人工内耳と両耳聴効果

両耳聴効果が4つの観点で定量データを用いて具体的に説明されています。

  • 両耳加重効果:両耳で聞くことにより、片耳で聞くよりも加重されて音が大きく聞こえて語音明瞭度が改善する。

  • 両耳スケルチ:聴覚システムには、それぞれの耳にたどり着いた音声と雑音の混合音から効果的に雑音だけを取り除く機能。

  • 頭部陰影効果:音声と雑音が異なる方向から到達する場合、SNRは音声を聞く方の耳がもう片方の耳よりも良くなる。

  • 音源定位:左右の耳に到達する時間や音の強さが異なることから音がどの方向からしているのかを特定することができる。

小児  における両側人工内耳の効果について、『小児では人工内耳装用に言語の獲得と学習という重要な目的がある』としています。

小児と成人の人工内耳と音楽聴く歌う、演奏する

  • 人工内耳装用者が、補聴器装用者と比べて音楽知覚が困難であることは、人工内耳の伝達システム上の特性であるとあり、音楽の伝達の特徴について、『メロディー(旋律)は音楽の高低変化がリズムとして連結されれ、1つの音楽的なまとまりとして形成されるため、音のピッチ感覚抜きでは成立しない』。今まで講演会やTwitterでもよく耳にしてきましたが、その根拠がわかりやすく説明されています。

  • 人工内耳では、『低周波数帯域の情報の伝達が不十分であること、各電極において不要周波数が残ること、正常蝸牛の基底板位置がずれること、音楽の変動に時間的に追いつかない』などから人工内耳装用者の、ピッチ感覚は一般に不良とされるとしています。低周波数については下記にもあるように補聴器装用?、正常蝸牛の‥については手術精度の向上?、時間的な問題についてはスピーチプロセッサの処理能力などが求められるのでしょうか?

  • 音の高低知覚には低周波数帯域の情報が重要であり、250Hz、500Hzの残存聴力を補聴器によって活用すると音楽が、捉えやすくなるとする装用者も多い。』これは、一つには低侵襲の手術で補聴器プラス人工内耳と言うハイブリッドシステムによる補完と、もう一つには片方を人工内耳もう片方を補聴器でも補完できるのだろうか?

  • Twitterでも音楽を演奏し楽しまれている人工内耳装用者の方を見かけます。『繰り返しの継続的な演奏により、少しずつピッチが修正され音楽が奏でられると表現する装用者もいる。』 としており、より音楽演奏者や音楽を楽しまれてる方からのノウハウ・コツを学んで行く必要性を感じました。また、音楽を早い時期から取り込んでいくことが大事としています。


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