見出し画像

セナのCA見聞録 Vol.34 ファンタジーフライト 後篇

次に「パイロットのおじさんの所へ行こうか。」と二階のコックピットへ連れて行くきました。

キャプテンは快く自分の機長席を譲りM君に座らせてくれました。そして、キャプテンの帽子を頭にかぶせて、「君がこの飛行機のキャプテンだ。」とこの小さい坊やを喜ばせました。

まだ小さすぎるのか、あまりはしゃいだ様子も見せないM君でしたが、興味はいろいろあるようで手に届くものは何でもさわっていました。コックピットは一番人気のある場所で、次から次へと列を作ってほとんどの子供たちが訪れ、わいわいとはしゃいでいました。

ファーストクラスの広くゆったりとした大きな椅子に驚いて、「わあ、大きな椅子。すご~い」となんども飛び込むように座る子、ギャレーで食事や飲み物の入っているカートを見せてもらって説明をうけている子、狭いトイレのドアを開けたり閉めたりして遊ぶ子、飛行機の中はとても賑やかでした。

「みなさ~ん、飛行機の中を十分に見学できましたか? そろそろこのファンタジーフライトも終わりに近づいてきました。みなさんまた自分の席に戻って、シートベルトをしっかりと締めて下さい。」というアナウンスが流れると、「え~、もう。」という声があちこちで聞かれましたが、皆素直に座席に戻っていきました。

飛行機が再び搭乗口に着くと、地上職員が引き続き彼らを誘導して空港の展望室などへ案内しました。

昼食は成田市内のホテルに用意され、各テーブルに二、三人のCAが座り、子供たち、そして学園施設の職員たちと共に食事をしました。

食事が終わると、施設に招待され、そこで午後のメイン行事、ファンタジーフライト・フェスティバルが行われました。園長先生のご挨拶に続き、ビンゴやダンス、椅子取りゲームなどさまざまな遊びを子供たちと一緒にしました。“ピニャータ”という中にお菓子の詰まった動物を模した紙人形を、目隠しをされて体をくるくると数回回された男の子が、手探りでバットを降り倒しながら壊す、すいか割ゲームに似たゲームもあり、盛りだくさんのメニューで子供達と共に楽しい午後を過ごしました。

子供たちは皆、本当に愛らしい。純粋でまっすぐで。

元気いっぱいの彼らと一日共に有意義に過ごせたことは、私にとってとても得難い経験となりました。

この紙面を借りて、この素晴らしい企画の準備、運営をされたスタッフに心から敬意を表したいと思います。ボランティアイベントですから、皆さんそれぞれ日々自分のお仕事、そして生活を持ちながら準備をしてこられたはずです。私たちのように、既に全てがお膳立てされたところに役割分担の一つで入るのは一番たやすいことだというのは十分承知しています。

当日は子供たちと時間を過ごすことがメインだったので、肝心な運営スタッフの皆さんと顔合わせをし、労をねぎらいお礼を伝える時間すらもてずに一日が過ぎてしまったのが心残りでした。改めて感謝し、尊敬の念をお伝えしたいと思います。

同じ気持ちは、子供たちを預かり、一緒に生活している施設職員の方々にも向けられるべきでしょう。この日は学園長を始めとする皆様の優しい心根に強く心を打たれ、感銘を受けた一日でもありました。

世の中には素晴らしい人が、大人も子供もいろいろな場所で日々、がんばって生きています。直接こういう方たちと会話をし、時間を共有することのできたおかげで、なんだか私自身への励みとなったような気が致しました。

陰ながら子供たちの健やかな成長と幸せを願い続けます。




いいなと思ったら応援しよう!