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セナのCA見聞録 Vol.1 訓練 はじまり

ある年の六月。

トレジャー航空からの合格通知とトレーニング開始通知を胸に、日本国中からCAになるため、新たな門出をきろうとする訓練生が成田空港、関西空港へ一人、また一人と向かっていました。

知らされているのは午後二時までに空港へ到着し、トレジャー航空のチェックインカウンターでトレーニング招致の手紙を見せるようにというだけ。待ち合わせ場所もなく、また引率者がいるわけでもありません。「航空券もないのに、本当にこの手紙一通を見せるだけで飛行機に乗れるのかしら。」と、とても心配でした。時間になり召集をかけられると、そこに集まったのは16人。少し大人のCAの卵達でした。

アメリカ系航空会社トレジャー航空のCA。これから私の始める仕事。
それまで勤めていた会社の同僚から、「ねえ、セナ。これ見てみて。セナは絶対この仕事にむいていると思うから、受けてみなよ。」とジャパンタイムズの求人広告を見せられたのがほんの2ヶ月前のこと。仕事帰りの駅のプラットホームでのこと。

「フライトアテンダント募集?」

「え~!CA?」

「うん、そう。セナみたいに海外駐在の経験があって、英語も上手な子がこのまま日本の会社に留まってたらもったいないよ。絶対いい線いくと思うから。」

こう突然同僚に勧められたのが全ての始まりでした。

東京のホテルで行われた1次試験には数千人を超える人が集まり、ものすごい行列でした。思わず笑ってしまったのは、まだCAになっているわけでもないのに、スカーフを首に巻いている子がいたこと。

1次試験は英語の筆記と口頭面接の2部ありました。

最初の筆記試験で半分以上が落ちていったようです。そして午後の簡単な口頭面接でさらにその半分に絞られ、合格者は残って履歴書を渡し、後日の連絡をもらうことになりました。それからグループ面接、個人面接、受かると健康診断に呼ばれました。

10倍以上といわれた倍率も、トントン拍子で通過してしまいました。

訓練はシカゴ近郊にあるトレジャー航空本社に隣接する訓練センターで行われることになっていました。ようやくシカゴに到着し、出迎えに来た職員について一晩だけ泊まることになっているホテルへ向かうと、アメリカ国内からやってきた日本人の訓練生二人がそこで私達と合流しました。初対面同士会話も少なく、夜も遅かったこともありすぐにホテルの部屋に入って別れ別れになったので、明日以降どういう所で寝泊りし、どれくらいの人数で一緒に訓練を受けるのかも何も分からないまま、初日は気の休まらない夜となりました。

トレーニング初日

教室に集まったのは関西空港から来ていた10名をあわせた28名でした。二ヶ月余りに及ぶ訓練を共に過ごす同期仲間との正式な初めての出会い。

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