見出し画像

18年お世話になったNHKを退職し、創業しました。

本日7月7日七夕の日に、渡部玲はAMANEQ(あまねく)株式会社を設立しました。登記申請は、古巣のNHKの向かいにある渋谷法務局で。

はじめまして、AMANEQ代表取締役社長の渡部玲(わたべあきら)と申します(季節感の違う写真ですみません)。2005年にNHKにディレクター職で入局し、初任地は徳島、東京では音楽ジャンルを中心に様々なエンターテインメント番組を制作し、その後、編成局、展開センターでコンテンツ・プロモーションのプロデューサーを務めました。また途中、労働組合の専従も行い、国内外のメディア取材・調査なども行っていました。これらの経験、知見と、20年ほどライフワークとなっていた映像制作、写真撮影、デザインを組み合わせ、社会に役立つコンテンツを自らつくり、届けたいと思い、6月30日にNHKを退職し、コンテンツ制作、プロモーション、コンサルティングなどを行う会社「AMANEQ」を設立しました。



社名「AMANEQ」に込めた2つの思い

AMANEQで「あまねく」と呼びます。2つの思いを込めて名づけました。
1つが「あまねく届ける」ということ。「ん?どこかで聞いたことあるぞ?」 はい。そう思ってくださった方は、結構なNHKファンです。「あまねく届ける」はNHKが掲げているコンセプトの大事なキーワードの一つです。「あまねく放送を普及させる」「あまねく伝える」ことは、公共放送、公共メディアとしてずっと大事にしている姿勢です。今回の退職は別に喧嘩別れしたわけでもなく、NHKが嫌いで退職したわけでもありません。私は、このテクノロジーが猛烈なスピードで加速するデジタル時代において、アルゴリズムによって自分の趣味嗜好に沿ったコンテンツや価値観を中心に触れる生活のなかで、新しいものに触れる楽しさや喜び、新たな学び、偶然性を、より大切にしたいと最近強く感じています。「あまねく」という言葉はもう若い人はあまり聞かなくなってきた言葉かもしれませんが、今のような時代こそ、大事だなと感じています。

また、関心のある層だけでなく、あまねく届けきるためには、公共性もそうですが、共感を呼ぶものであることも大事になってきます。もちろん全てのコンテンツが毎度、公共性や共感を意識する必要はありません。インターネット社会になり、誰もが多くの人たちに何かを届ける時代になった今、「公共」は誰かの特別なものではなく、当たり前に意識するものでもあります(この辺の話はまた追って深く話したい・・・)。
ただ、やはり何を伝えたいのか、価値は何なのか、届ける前に、価値を深掘りしていくことは大切です。なぜなら、己がまだ本当の価値や魅力に気づいてないこともあるからです。そこでAMANEQ2つ目の思い、「問い(Question)」です。私はこの春まで2年間、社会人学生をしていました。京都芸術大学大学院学際デザイン研究領域で「デザイン思考」を学んでいたのですが、この2年でひたすら行っていたのが「問い立て」です。大学院ですから教授から何かを学ぶというよりは自己探究の繰り返しの日々でした。伝統工芸や歴史的景観、美しいと感じるもの、それらに自分が任意の対象を設定し、なぜそれが美しいと思うのか?なぜ団扇はずっと何百年も使われてきたのか?これからも使われるためにはどうしたらいいか?と自分なりの「問い」を立てて、そこから先行研究や独自の視点を絡めながら論じていくのです。
話が少しそれましたが、この「問い」は振り返ればテレビ番組の制作の現場でも常に意識していたことでした。これまで何度も扱われてきたテーマでも、どこに着眼点を置き、何を問うかで、番組は全く新しいものに変わります。NHKを離れて、クライアントが抱える悩み、課題に耳を傾け、コンテンツを制作していくようになっても、「問い」を大切にしたい。それらの思いから「AMANEKU + Question」で「AMANEQ」としました。

※大学院での学びを仕事に取り入れてみた事例 
 NHK広報局note 渡部執筆


で、AMANEQは何をするの?

コンテンツ制作においては、これまでの経験から音楽ジャンルのお仕事のお声がけをいただき始めていますが、ただ「いいですね!それやりますよ!コンテンツ作りましょ!」というのではなく、じっくりと話し合い、何を売りたいのか、届けたいのか、じっくりと問うことに時間をさき、そこからアイデアを可視化してコンテンツにしていきたいと思います。
また、オーケストラの収録やオペラ、またNHK紅白歌合戦まで、多くのスタッフと共にチームで制作する番組も数多く経験してきたこともあり、イベントや大勢のチームで行うプロジェクトなどにも積極的に関わっていきたいと思っています。ライブコンサートやオーケストラなどの収録、配信も行えるように、機材の準備はもちろん、優秀な人材の確保が急務で早速お声がけも始めています。オンラインサロンなども含めて、AMANEQの考えに共感してくれる人たちを集い、「チーム」を作ろうと思っています。

一方でエンターテインメント以外にも、「地域」や「社会」と向き合うコンテンツも積極的に関わっていきます。早速、ゆかりの地域でお仕事することになりそうです。公表できるものは、できるだけプロセスも含めてお届けしていきたいと思います。

最後に

これまでの文章を読んでいると、「え、じゃあ、NHK辞めなくてもよくね?」ってなると思いますが、そこはやっぱり辞めたい、辞めて新しい場からコンテンツを作りたい、今のメディアを見て思うこと、など様々な思いがあります。それはまた追ってお話できればと思います。

また、この場を借りて・・・。退職前に局内外のお世話になった皆様に退職のご連絡をさせていただきましたが、全ての方に届けきれておりません。こちらで知ったという方もいらしゃるかもしれません。折々での叱咤激励のお言葉、お力添えいただきありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

そして、これから、多くの方々とAMANEQと新しくお付き合いさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

長くなりましたが、まずはご挨拶まで。


AMANEQ株式会社
代表取締役社長
渡部 玲

クリエイティブディレクター
二等無人航空機操縦士
芸術学修士 Master of Fine Arts



いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集