1122の日
いい夫婦の日。
きっと今日が結婚記念日の人も多いだろう。
仕事帰りには駅の花屋さんが賑わって、
そわそわした様子の誰かのパートナーが肩を並べている姿が目に浮かぶ。
今日は、花の色を1年で1番真剣に選ぶ日かも知れない。
私の旦那さんは13歳年上だ。
私たちにとって11月22日は結婚記念日ではなく、
付き合った記念日である。
大変紛らわしいが、この日になったのは偶然だ。
付き合ったのは今から10年前。
2012年のTOKYO DESIGNERS WEEKの2週間ほど後だった。
このイベントは7日間開催され、私はARTブースに自分の絵を展示したりライブペイントをしたりしていた。
当時仕事をしていたので、スケジュール調整が難しかったが、友人だったヒデさんが作品の搬入、設置、メンテナンス、搬出を手伝ってくれ、お洒落なお昼ご飯まで作ってケータリングしてくれた。
この映像は当時のヒデさんが記録したものだ。
まさか結婚するなんて、絵に夢中な私は思っていなかっただろう。
会場は企業のブースやクリエイターによる企画展があったり、ライブをやっていたりした。
胸踊る出会いがたくさんあった。
最後のパーティーは、お酒を飲みながらドームで行われた。
プラネタリウムのように投影されたのは、チームラボが手がけた伊藤若冲がテーマのアニメーションだった。
若冲の白い象が息を吸い、動き始める。
タイルのように描かれた桝目は、パタパタと景色を変えていき、夢のような樹花鳥獣図屏風だった。
表彰式が行われて、終焉の拍手が寂しさ呼ぶ。
会場は慌しく帰り支度を始めた。
まだそこは残った誰かの熱気と充実感を感じることが出来た。
真っ暗になった神宮外苑を背にして、大荷物で2人で駅へ向かう。
帰り道にたまたま焼き鳥屋さんがあったので打ち上げする事にした。
色んな話をしたと思う。
物を作り出すときの苦悩とか、
現実とのバランスの取り方についてとか、
自分の世界を作れる楽しさとか、やってみたいこととか。
気づけば誰よりも理解者で居てくれた。
世間知らずな私に“年上”を振りかざすことは一度も無かった。
有り余る知識や経験を惜しみなく与えて、
一緒に成長しようとしてくれていた。
11月22日は特別な日になった。
結婚して時には喧嘩することもあったけれど、
真面目に意見をし合うのはお互い向いていると思う。
ぶつかったときは10年前に隣にいた人を思い出そう。
びっくりするほど今も変わらない。
今日からまた1日ずつ、歩幅を合わせて歩いていこう。