「光の宇宙樹の歌-5」地球とつながって歌うには?



❇これは、著者の体験をもとに書いた「物語」です。


スペインから帰国した私は、ヴォイス・トレーナーの仕事を休業することにした。そしてデパートの販売員をしながら、民族音楽の発声法を独学し始めた。
未知の発声法を、それこそ一から身につけるのだ。一時的にせよ、自分の発声法が混乱をきたすかもしれない。そう考えたからだった。

私の声種はメッツォ・ソプラノ。ただし、幼児期の音声障害の後遺症なのか、出せる音域はかなり狭い。そういうわけで、オペラのアリアよりスペイン民謡のほうが、ずっと楽に歌えるだろうと思っていた。

ところが実際に歌ってみると、得意なはずの低い声が出しづらい。
低音域に声が定着してくれないというか、声自体が意思をもっているかのように、少しでも気を緩めようものなら、勝手に高音域へ上昇していこうとする。

大学2年生のころから半ば無意識に、息つぎの時、高次元中心太陽からの光も吸って歌おうとしてきた影響なのだろうか?地声で民族音楽風に歌おうとしても、そのまま地声で朗々と歌い続けること自体が難しいのだ。

それをどう解決したらいいのか困り果て、ある日の練習中、とうとう叫んでしまった。

「どうしてなの!?どうしたらいいの!?誰か教えて!?」

すると心の中に、次のようなアドバイスが、一度にかたまりのようになってやってきた。


「発声練習からいったん離れて、フラメンコ舞踊を習ってみるといいでしょう。フラメンコのステップは、民族舞踊のなかでも激しく、しかも垂直に大地を踏み続けます。声楽の時のように、体の中心線を垂直に保ったままステップを踏み、地球の中心核からのエネルギーに対して、あなたの足の裏を開くことのほうが先なのです」

ああ、そういうことか!と、腑に落ちた。そういう理由があったから私は、大規模な野外劇場がいくつも遺っているギリシャではなく、古代ローマ遺跡の本家本元イタリアでもなく、フラメンコ発祥の地スペインの、古代ローマ野外劇場へ導かれたのだ。

いったい誰からのアドバイスなのだろう?なんて疑念が湧く暇もないほど、急速にワクワクし始めたのを感じた。


ただし私は、舞踊に関してはまったくの未経験。だから週1回2時間の、入門クラスに入った。



レッスンが始まると、豊満な私の足下だけが、ドーナツ状に濡れていく。それでもなんとかレッスンについていこうと、分厚い板を買い、時間を見つけては自宅練習に励んだ。

そうして3ヵ月が過ぎようとしていたある日のことだ。不意に変化が起こった。

ステップを踏んだ時の靴音が、重く鈍い「ドスン」から、軽く鋭い「カツン」へと変化したのだ。

そしてそれ以降、「声」にも変化が現れた!

低い声を朗々と安定した状態で出し続けられるようになり、そのうえ、民族音楽風のコブシまで唸れるようになったのである!


帰国してから1年半ほど後のことだった。



❇次の

「光の宇宙樹の歌-6」巨人型E.T.とドリーム・コンタクト!

も、どうぞご覧ください。


愛燦々ア~イオ~~ン~💞🌏💞

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