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運命とお手紙と優しい風


運命の中に居る人を
じっと見ている。
見て、どう見えるのか
少しだけ言葉にする。

という、仕事をしている。

心は目に見えないから
本当に目で見えるようにはならない。

口調を、仕草を、表情を、
文脈を、行間を、それらの言葉の文すらを、
拾い集めて重ねてバラしてくっつけて
御手紙みたいに
心を見えるようにする。

そんな、仕事をしている。

心は目に見えないけど
見えた気になってしまう時もあるけど
それでもなるべく見えやすく
言葉に変えて伝わるように。

風は見えないけれど
吹いたら何かが飛んで
すぐこの肌で気づくから

そういうものと向き合うことを
もう何年と続けてきた。

都合の良い第3の眼など無いけど
私には言葉がある。
時に誰かを殺めたり、傷つける反面、
癒したり慈しむこともできるものを
私は、私達は、持つことができた。

どうしても生きなくちゃいけないなら
せめて誰かの涙を乾かす、
優しい風のような人になりたい。

永遠みたいに長い夜が明けるまでずっと。

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