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【吹替】卒業写真

こんにちは。福岡のナレーター・谷周(たに あまね)です。2021年4月末に所属していた事務所を離れ、現在はフリーで活動しています。


※動画だけを観たい方は読み飛ばして良いところ

ナレーターに限らずこういうお仕事の方は事務所を離れるまでに親しいクライアントさんなどにほんのりと退所についてお伝えをするものだそうですが、わたしがそれを知ったのは5月に入ってからのことでした。つまりは本当に、一人で何もかもまっさらな状態から始めないといけないということです。しかし、独立の理由の一つとして「自分で営業して新しいお仕事を開拓してみたい」があったので、事態をそこまで深刻には受け止めてはいませんでした。
予想以上のスピードで退社が完了してしまったけれど、元々は夏前には独立しようという計画だったのです。なので、本来のスケジュールに間に合うように自分のコンセプトや売る方向性をゆっくり固めていこうと考えていました。が、

5月後半。Twitterに1通のDMが届きました。
差出人は、なんと以前一緒にお仕事をさせていただいた某テレビ局のミキサーさんでした。この道数十年のベテランの方なのですが、仕事の幅を広げるために社内ポートフォリオ用のショートムービーを撮っており、その吹替をして欲しいというご依頼でした。

この話のなにがすごいって、わたしがフリーになったことをこの方はご存知なかったのです。ムービーを作り、急遽声を吹き替えにしようと決め、以前一緒に仕事をした新人ナレーターのことを思い出し、ググって初めてフリーになっていたことを知ったという…。

いや、素直に嬉しいです。お仕事をしたとは言え、お会いしたのは数年前のたった一度だけ。しかも、確かMAルームの前で「よろしくお願いいたします」とご挨拶しただけで、わたしは名刺を渡していない。そんな状態の新人ナレーターのことを覚えていただいてるなんて、ねえ。

あと、そのご一緒したお仕事というのが、なんとわたしのナレーターとして初めてお受けしたお仕事だったのです。県外にマネージャー同行なしで行ったTV番組収録(最高に優しく温かい現場でした)。
事務所所属ナレーターとして初めてのお仕事とフリーナレーターとして初めてのお仕事を、意図したわけでもなく同じ方に見守っていただけるって、なんだかすごいことですよね。

声に関する物事への関心は昔からあったものの、環境やら色々な要因によって何度か距離を取ろうとしたことがあります。でも、その度に何か見えない力が声に関わるようにと人生を軌道修正してくるのです。
今回も多分その力が働いているのだろうと思いました。「自分のコンセプトや売る方向性を決めよう」と言っても、優柔不断で最終的にはあみだくじで決めてしまうことも多いわたしのこと。きっと時間を無駄に費やすだけだと見えない誰かはわたしのお尻を叩いてくれたのでしょう。

そういうわけで、とても思い入れの強い作品です。凛さん演じる主人公の吹替をさせていただきました。
淡い色使いの福岡で切り取られたセンチメンタルジャーニー、どうぞお楽しみください!




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