どうしても生きていたくない私[4]
もう一つ、私が父を軽蔑するきっかけになった出来事はありました。それは父が別居を経て家に戻って来た時です。私が中学生の頃に父が母に対して暴力をふるった為、一時期母は子供を連れて実家に戻りました。片道1時間半も掛けて車で学校まで送迎をしてくれて、自分も仕事に行っていました。1ヶ月程たった時、私達が家に戻るタイミングで父が別居する事になりました。その間は最高でした。理不尽に怒鳴られる事もなく、心穏やかに過ごす事ができました。しかし1年程経った頃に父が帰ってくる事になり、当日、父はこんな事を口にしました。
「これからは怒鳴ったり手を上げたりはしないし、約束はきちんと守るよ」
私はここまで来て改めて約束をするのだから、今回こそ約束を守ってくれるものと信じようと努力しました。しかし、思っていた通り父は変わっていませんでした。すぐに怒鳴り、手を上げ、変わろうという努力さえ見えませんでした。ここに来て、私は人は変わる事はできないのだと確信しました。どんな約束も無意味で、楽しい時間も必ず終わりを伴うのだと感じました。今考えれば、この辺りから悪い意味で諦めるという癖がついたように思います。そんな日々の中での父との言い争いで「なんでおれがお前に興味なんか持たないといけないんだ」と言われた日がありました。何かが、割れました。
そんな経緯で、私と父は今では不仲以前に口もきいていません。現在も同じ家には住んでいますが、空気と同じ様な扱いをされています。おはよう、おかえりなどの挨拶はされませんし、なんなら目も合わせられる事はありません。最もこっちから願い下げですが。
ちなみに、光熱費や家のローン、学費は払ってもらっています。これを聞いたら嫌いと言っておきながら甘えてる、それならまだマシだうちはもっと酷い、という声が聞こえてきそうですが、あくまで私は私の境遇で私の感情と価値観を元に話しています。そもそも親になった以上それがどれだけ大変であろうと生きて行くのに最低限の費用を出す事は当たり前だと思います。学費についても、現代の日本で大学に行く事は、目的があって進学をしない選択をするか専門学校を選ばないなら就職に並んでスタンダードな選択肢になりつつあると思いますから。これをしない、できないなら親になるべきでは無いと思います。自分が親になったら死に物狂いでここは死守します。なにせ私の父は自分はブランド物の何万円もするシャツを着ながら私や母には平気でスーパーの服を着せたりしますから、こんな事言っても無駄だとは思いますがね。
そんな事があり、私は父親というものに対して愛情や親愛の情は一切ありません。生活費と学費を出したその事実に対しての感謝のみです。