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◯◯さんの奥さん、〇〇ちゃんのお母さん

バイト先で、社長と契約社員さんが世間話をしているのが聞こえてきた。
契約社員さんが言う。
「〇〇さんの奥さん、とか言われて、何その呼び方。私にも名前あるねんって(思った)」
独身の女性社長が返す。
「あー、それよく聞きますね(女性たちの間で)
この言葉に感情が余計に入ったらしい契約社員さんが続けた。
「あと、〇〇ちゃんのお母さんとか。ほんま、私にも名前あるねんって」
契約社員さんは子どもも巣立っている年齢。
高齢出産でまだ小学生の娘がいる私より年齢は一回り上だ。
このやりとりを薄壁を隔てた隣の部屋で耳にした私はこう思った。

➖私、イヤやって思ったことないなあ➖

すぐに別の話に逸れていった社長と契約社員さんの会話をBGMに、どうして私は何とも思っていないのか自問してみた。
あがってきた理由を列挙する。

・結婚が37歳だったから、自分の名前で呼ばれる期間が長かった
・結婚、出産後も仕事をしているから自分の名前で呼ばれてきた

だから、そんなに意識しなかったのかなーなんて単純作業をしながら考えた。
それから、どういう人に『〇〇さんの奥さん』とか『〇〇ちゃんのお母さん』って言われるのか思い返してみた。
・夫の友だち
・夫の元同僚
  ⇒同じ勤め先だったから私の同僚とも言えるけど、夫を介してしか接点のない人たち
・娘の友だちのお母さんたち
・娘の担任教師や習い事の先生

こういう人たちに『〇〇さんの奥さん』とか『〇〇ちゃんのお母さん』って呼ばれる。
娘が生まれてから、小学校に上がってから知り合った同世代の友人たちもいるけど、私のことは名前で呼んでくれる。名前と言っても、名字のケースもあるけど。それでも『〇〇ちゃんの・・・』じゃない。

そうやって振り返ってみて、私がどうして『〇〇さんの奥さん』、『〇〇ちゃんのお母さん』って呼ばれても気にならないのか、わかった。
私が個人的に仲良くなろうと思っていない人たち、私個人が親しくなる必要のない人たちからしか、そういう呼ばれ方をしないからだ。
嫌いだとか、付き合いたくないとかじゃない。
ただ、夫がいるから、娘がいるから、親しくする人たちだからだ。
そういう人たちでも、今後、個人的に親しくなっていったら名前で呼んでもらうと思う。
付き合いに境界線があって、それに見合った呼び方だから私は気にしてないんだ。

じゃあ、なんで契約社員さんはイヤだって思ったんだろう?
経歴を聞くに、ずっと会社勤めをしてきているから自分の名前で呼ばれることも多くあっただろうに。
ご主人やお子さんを介して付き合っている人たちにも、個人として認識してほしいっていうことなんだろうか。

まあ、たぶん直接この疑問をぶつけることはないだろう。

ただ社会の中で生きていくには、いろんな価値観があるということを知っておくことが大事だな。

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