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【日常エッセイ】夏の去り方

スマホをバッグに入れて、
視線を向かいに座っている人の足元へ向ける。
通勤時間を過ぎた各駅停車は立っている人が少ない。
おかげで、向かいの人の足先が
外に向いていることがよくわかる。
その隣の人は爪先が内側に向いている。


極端な2人が隣りあって座ってる。


そんな言葉を頭の中でつぶやいた。
ふと、その人たちの靴が気になる。


スニーカーとローファーか。


私は黒目を動かして、
見える範囲にいる人たちの靴を観察する。


スニーカーかローファーだけや…


先週、電車に乗った時は
素足にサンダルの女性を何人も見た。

(私が)持ってる黒のサンダルは
いかにも近所用のおばちゃんサンダルやけど、
ロングスカートや、くるぶし丈のスタントした
軽いパンツに合わせたらオシャレになりそうやなー。


なんて、女性たちのファッションを見て思ったことをハッキリと覚えている。

そんな先週はまだ8月。
今日は9月。
たった1週間で見える景色が変わった。
大げさに聞こえるかもしれないけど、
靴の種類が違うだけで
私にはかなり大きな違いに感じた。


素足にサンダルは、もういないのか?


念のため、
駅で乗り込んでくる女性たちの靴を見続ける。

1人いた!
次の次の駅で、また1人乗ってきた!


30分間、乗っていた電車で
サンダルを履いていたのは2人だった。


夏が去っていく音を聞いた気がした。

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