サイコの鶏唐【毎週ショートショートnote】
今日は彼のために、鶏の唐揚げを作るの。
特に胸肉が大好物だって、この前友達に話していたのを、こっそり聞いてたんだ。
彼ったら、何が好きとか、どんなことをしてほしいとか、そういう大事なことは全然私に言ってくれないんだよね。
私、何だってしてあげるのに。
でも、とても控えめで照れ屋な性格だってことも、よく知ってる。
いつも見てるからね。
きっと、私に負担をかけたくないって考えてくれているんだ。そんなところも、大好き。
彼が外出している間に、複製してある鍵で部屋に入って、調理を始める。
私からのサプライズ、喜んでくれるかな……?
「おかえりなさい! 疲れたでしょ。夕飯、できてるよ」
出迎えた私と胸肉の唐揚げに、彼は驚いたのか、固まっちゃった。
そしてそれから、こう言ったの――
「ありがとう! 大好物を作って待っててくれるなんて。僕は素敵な恋人がいて幸せだよ」
とっても喜んでくれた! 嬉しいな。
「これで、明日も楽しく元気に拷問ができそうだ!」
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