友情の総重量【毎週ショートショートnote】
急に高熱が出て部屋で苦しんでいたら、死神が現れた。
「お前への恨みの声が呪いとなって降りかかっているのだ」
何だよ。そんな恨まれる覚えはないぞ。
「いいや、大量の声が届いているぞ。聞くがよい」
死神の手にした水晶玉に、良く見知った友人らの姿が代わる代わる映される。
(……あいつ、いつも生徒会長の隣を独占しやがって)
(幼馴染だからって、学校一の美人と仲良くしすぎだろ)
(万死に値する!)
ことごとく逆恨みじゃねえか!
あいつとはただの幼馴染でしかないのに。
しかも、いつも何かとあっちから突っかかってくるだけなのに、理不尽だろ。
「くくく、この怨嗟の呪いを断ち切るには、同等以上の友情が必要なのだが――どうもお前の友人は全員、味方ではないようだな」
俺、こんなんで死ぬの?
「むっ? 何だ、一人だけずいぶん重たい感情が――」
水晶に、生徒会長である幼馴染の姿が映った。
(えっ……違うって、あ、あいつは、ただの友達よ! 腐れ縁なだけなんだから!)