ショートショート王様【毎週ショートショートnote】

ショートショートの名手がいた。

短い文章で作品世界に引き込む表現力。
ＳＦにホラー、コントに恋愛、どんなジャンルにも対応した発想力。
そして、ユーモアや皮肉、どんでん返し等々を自在に折り込みつつ、見事に作品をまとめあげる構築力。
必要な能力を全て網羅しながら、決して驕らない人格者でもあった。
そんな彼を、誰もが『キング・オブ・ショートショート』と呼び、讃えた。

しかし、残念なことに、王には唯一の欠点があった。

「キング、今回もコンテスト優勝です！　一言、コメントを！」
「あっ、はい……あの、その、どうも……ありがとうございます。ひとえに、私を支えてくれる……あっ、支えるというか、応援してくれる方、というか……えー、作品を読んで、あっいいなって思ってくれた、そんな方も含めて……そんな皆様のおかげで……あっ、厳しい意見を言ってくださる方も、もちろん、その、糧とさせていただいて……なので、ええと……決して嫌じゃなくて……その……」