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蒸し返しダンサーに【毎週ショートショートnote】

「ぼく、ダンサーになりたいんだ!」
「また何を言い出すのかと思ったら。この前は漫才師になりたいって言ってたのに」
「母さん、そんなこと蒸し返さないでよ。今度こそ本気なんだ」
「厳しい世界だぞ? お前じゃせいぜい、宴会芸の裸踊りくらいが関の山だろ、はっはっは」
「父さんまで馬鹿にして……いいよ、勝手に一人で目指すから!」


「――なんてことがあったよね」
「おいおい、相当昔のことを蒸し返してくるじゃないか」
「だってまさか、お前が本当にこうして世界的なダンサーになるなんて、思わなかったしねえ」
「別に恨み言とかじゃないよ、父さん、母さん。俺が真剣だとわかったら、練習のための資金を援助してくれたじゃないか。……今日の凱旋公演、しっかり目に焼きつけてくれよ」

老いた両親を招待席へと送らせ、控室で開演を待つ。

「――お待たせしました! それでは、世界的ネイキッド・ボディ・ダンサーの登場です!」

私は舞台へと向かう。両手に桶を持って、全裸で。

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