だんだん高くなる星屑ドライブ・②【毎週ショートショートnote】
卓球の地区大会で異変が起きた。
大して強くなかったはずの星ヶ丘中の葛原が、次々勝ち上がっているのだ。
「俺が山籠りで習得した『星屑ドライブ』を味わうがいい!」
なんだそれ。自分でそんなファンタジーな技名付けたの? つーか、山籠りしたのかよ。ツッコミどころが多すぎる。
「行くぞ! うりゃあ!」
うわっ、速いし、本当にキラキラ尾を引いて見える!?
「どうだ。これこそ、俺が山で『必殺技をください』と流れ星に祈った成果だ!」
いや奇跡かよ。それ成果じゃないし、貰いもんだし。山籠りって特訓とかだろ普通。なんかズルくね?
「これで俺が優勝だ!」
「それは――どうかな?」
そう言って相手の綺羅星中の崩谷が打ち返した球も、なんと彗星のように尾を引いた。
「俺も同じく、流れ星に願ったんだ!」
お前もかよ。おいおい、願えば誰でも強くしてくれるんなら、俺だって――
……その後、気安くて気前のいい流れ星のおかげで、地区大会のレベルはだんだん高くなりつつある。
※同お題ひとつめ
※同お題みっつめ
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