残り物には懺悔がある【毎週ショートショートnote】
「どうしてそんな悲しい瞳をして謝るの?」
「申し訳なくて。私なんて、美人でもないし、取り柄もないし――」
私はただ、残っていただけ。
誰からも狙われなかっただけの、大した価値なんてない、残り物の女だ。
「そんなことないさ。君が残っていてくれて、僕は嬉しかったよ。二人で助け合って生きていきたいんだ」
彼は私を優しく気遣ってくれた。
ありがとうと笑おうとした、そのとき――
「いたぞ、生き残りだ!」
「一人も逃がすな!」
敵軍の声と発砲音が響いた。
「くっ……僕はもうダメだ。君だけでも逃げ――」
「そんな、いやよ! いや!」
一人だけ生き残っても、意味なんてない。
致命傷を負った彼の手を握っていると、敵軍に囲まれた。
「お前が最後の一人か。……運がいいな、死なずに済むぞ。『残り物には福がある』だな」
そして――
私は『最後の人類』として、侵略者の異星人の星の博物館で、丁重に保護されている。
一人だけ生き残ってごめんなさい、と、虚ろな目で呟きながら。