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yutthinote6686
だんだん高くなる星屑ドライブ・①【毎週ショートショートnote】
「少し遠回りしようよ」
帰り道、僕はそう提案して、尾根を巡るスカイラインに向かうことにした。
彼女は怪訝な顔をしたが、その表情はすぐにパッと晴れた。
「あっ、今、星が!」
そう。今夜は、流星群が楽しめる特別な時間。星屑ドライブだ。
「見て見て、ほら!」
道は少しうねりながら、だんだん高くなっていく。
「うん、綺麗だね」
開けた尾根の景色と澄んだ大気の上を、いくつも星が流れていくのが見える。
他に走っている車もいないので、スピードも自然とだんだん高まる。
「わあ、あそこも、向こうも!」
彼女のテンションが、一段と高くなる。
僕への好感度も、一段と高くなっているようだ。
「ねえ……もう少し、遠回りできる?」
そんなふうに見上げられたら、鼓動もぐっと高まる。
「そう、だね……」
呼吸が苦しい。期待が高まって、緊張してきたせいか。
いや、原因は――
「お客さん、まだこのまま進むんですかい?」
タクシーのメーターの表示額が、静かに上がりつづけていることだ。
※同お題ふたつめ
※同お題みっつめ