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宝くじ魔法学校【毎週ショートショートnote】

「宝くじが当たる確率はなんてものは、とんでもなく低いんだ」
「ああ、だからこそ当たればでかい。夢があるってもんだろ?」
「だが、一等が当たる確率なんて。一年365日、毎日車に轢かれるような天文学的な数字なんだぞ」
「うーん、そう聞くとちょっと……」
「どうして人はそれでも億万長者を夢見て、宝くじを買ってしまうのか。それは、魔法がかけられているからだ」
「魔法?」
「そう。宝くじには、一攫千金の魅力を感じるよう魔法がかけられている」
「え、マジで?」
「本当さ。魔法をかけるための専門職と、職人を養成する専門学校もあるんだ」
「なるほど、そんな裏が……」
「そして、俺もこれから厳しい試験にパスし『宝くじ魔法学校』に入学するつもりだ」
「そりゃまたどうして」
「宝くじに魅力を感じる魔法を覚えれば、一方で誘惑を遮断する魔法も覚えられる」
「なるほど、自制心を身に付けるために……」
「あと、入学すると毎回10枚タダでもらえるらしい」
「そっちかよ」

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