![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/116729496/rectangle_large_type_2_1905226912fce1ba250d2a4ad496cd4c.png?width=1200)
Photo by
mioarty
呪いの臭み【毎週ショートショートnote】
「どうして僕を避けるんだい」
「それは……」
とある城の舞踏会。
王子フリードは、以前から心を寄せていた辺境貴族の一人娘セレナをパートナーにと誘いますが、セレナは丁重に断ると、顔を背けるばかり。
そこに現れたのは、悪役令嬢ヴェルファイア。
「いい気味だわ。貴女には『愛する相手から耐え難い臭みを感じる』呪いをかけたの。これ以上フリード様に近寄れないようにね!」
魔女ミラの力を借りたヴェルファイアは、高笑い。
「ならば――」
しかし、セレナの顔はむしろ晴れ、
「つまりこの臭みは、私がフリード様を愛するがゆえ、ということですのね。それなら、いくらでも耐えられましょう」
フリード王子にすいと近寄り、その手をとりました。
まさにそれこそが、呪いの解除法。
さっきまでの臭みが嘘のように消えたのです。
「王子……」
「セレナ!」
セレナを抱き寄せる王子。
その身体から、ツンとする臭みが。
「うわこれ呪いじゃなく本当の体臭? あーすいません無理です無理無理」