半笑いのポッキーゲーム【毎週ショートショートnote】
「なあ、ポッキーゲームって知ってる?」
「ポッキーゲーム?」
ツレが急に切り出すので、思わず聞き返す。
「高校の兄貴が、面白いぞって教えてくれてさ。まず、こう、一人一本ずつポッキーを持ってだな」
ん?
「そんで、初めのやつがまず誰か一人をポッキーで指す」
「へえ?」
お前、騙されてんぞ?
そう言いかけて、やめる。
しらばっくれたほうが面白そうだ。
「指されたやつは『プリッツ』と言いながら、今度は別の誰かを指す」
それ、違うゲーム!
「ふ、ふうん」
吹き出すのはこらえたが、思わず半笑いになってしまい、何とか相槌を打つ。
「そしたら、指されたやつじゃなく両側の二人が『ギャバギャバ』って」
「なるほど……」
あかんお腹痛い。
「な、ちょっとやってみようぜ、ポッキーゲーム」
「おう、いいぞ」
ああ面白すぎる。
腹筋が耐えられなくなったら、ネタばらししてやるか……
「……本当の、な」
「えっ」
驚くあたしの顔を見て、ツレはさっきまでのあたしのように、半笑いになる。