親切な暗殺【毎週ショートショートnote】
「国民暗殺協会です。あなたを一週間後に暗殺します。今のうちに身辺整理などをしておくとよいですよ」
「前もって告知してくれるとは、また親切なことだな。……それで、私はどういう方法で暗殺されるんだ?」
「それは話せませんね。どう殺されるのか知ったら、不安で眠れなくさせてしまうかもしれませんし」
「いや、暗殺されると知った時点で心穏やかじゃいられんが」
「申し訳ありませんが、あなたの政治手法を好まない人が多いもので」
「……確かに私は、国民に厳しいルールを強いる政策を進めてきた。……なあ、やり方は改めるから、私を暗殺するのは考え直してくれないか」
「なるほど、それなら、やめましょう」
「いいのかよ! ……ああ、やっぱり、ダメだ。この国の人々は誰もが親切すぎる、暗殺者でさえ。このままでは他国に付け入れられ、みんなが損をする、それはダメだ。たとえ暗殺されようと、この改革を諦めるわけにはいかない!」
「あなたも、たいがい親切な人ですね」
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