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スナイパーの意外な使い方【毎週ショートショートnote】

国の発展のため、反対勢力の有力者を狙撃で暗殺する汚れ仕事を引き受けてきたスナイパーに、諜報部から『最後の任務』が提示された。闇に生きる人生に疲れ、引退を願い出ていたのだ。

ビルの屋上で狙撃準備を整える彼は、第二の人生を夢想していた。
この任務が終われば、自由放免だ。
田舎に帰ったら、何をしよう。……何ができるだろう。

今まで培った技術を活かすなら、最有力候補はやはり、猟師か。
銃砲店もいいかもな。

待てよ。
サーカスで、人に向かってダーツの矢を投げるなんて曲芸があるが、それを銃でやってみたら面白いかもしれない。頭の上のリンゴを撃ち抜く、みたいな。
意外と楽んでもらえるんじゃないか――

……そろそろ時間か。
楽しい想像の続きは、任務を完遂してからだ。


一発の銃声が響いた。
スナイパーは、最後の任務を全うした。

存在しない標的を撃とうと構えたところを、撃たれた。
彼の本当の『最後の任務』は、後任のスナイパーの『最初の標的』となることだった。

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