アメリカ製保健室③【毎週ショートショートnote】
「なんだこれは!」
校長が保健室に入ると、床がすべて畳になっていた。
「オー、イカガデスカ? ワビサビデスヨー」
日本が大好きなあまりアメリカからやってきた、新任の養護教諭のジョン先生だ。なお、頭にはちょんまげが結わえられている。
「ジョン先生、畳だったら侘び寂びでは……ちょっと、その恰好は?」
「モチロン、ニンジャデス!」
「本来は白衣なのに、よりによって黒……先生ね、保健室を間違った和のイメージにしてないで、仕事を」
「チャントシテマスヨー、コウヤッテ」
ジョン先生はちょんまげをグイッと前に倒すと、ぺかーっとライトがつき、校長の頭を眩しく照らした。
「オー、ツキガキレイデスネ」
「……出てってください」
「ホワット? コーチョー、ワタシハラキリデスカー?」
「クビ切りです」
「カクナルウエハ……ニンポウ、ケムリダマ!」
「うわっ、何も見えない……あっ、消えた? いや……奥の壁に仕掛けがあって、裏側に逃げたんだ。……どんでん返しだ!」