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激辛の鏡【毎週ショートショートnote】

「千花、また洗濯物しまってないよ」
「あー、ごめんごめん」
「さっきも言ったのに。なんでその時やらないの」

またお小言が始まった。

「机の上はいつも散らかってるし。それに、前に貸したマンガもリップも、返してもらってないよ。ちゃんとけじめをつけて……」
「はいはい、ごめんね、千枝」
「生返事じゃん。だいたいお姉ちゃんはさ、そうやって毎回適当にごまかしてるから、いつまでたっても――」

双子の妹の千枝は、私よりも数段几帳面だ。
外見は体格も顔も髪型も、鏡写しのようにそっくりなのに、どうしてこうも差があるのだろうか。

「もう、聞いてるの? そんなんじゃ、……幹雄くんにも、愛想尽かされちゃうよ?」

少し震えた千枝の声に、私はハッとする。
幹雄は最近付き合い始めた私の恋人で、……千枝がずっと片想いしていた相手。

「……そうだね、気をつけなくちゃね。ごめん、千枝」

少しは改めなきゃな。
こんな激辛の説教をするのは、当の千枝だって、辛いはずなのだから。



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