神憑百首摘録(かみがかりひゃくしゅてきろく)  審神者  長沢雄楯先生  神主門人 武 栄太夫編 (天元春日 再編)

神憑百首


  審神者  長沢雄楯先生

  神主門人 武 栄太夫編


1ー神術は 難しとも難し いやつとめ いや励まずて  いかで成し得む


2ーかたしとて ゆめたゆみなく 勉めなば  ついに至らむ道の奥がに


3ー霊術を  修めむ人は 日々つもる こころのちりを まづ払えかし


4ー神術を  習い得てこそ  後の世の  魂の行くえも  知り得べきなれ


5-神術を あだにな修めそ 世をも人も すくい導く これのかむわざ


6ー霊術を 修め得ずては 国典の ことのまことは 知り得ざりけり


7ー雲霧に 影はまかすも 天つ日の 大御光りに かわりやはある


8ー天地の理を知れ 天地は 神ながらなる 神の御教


9ー天つ日の 日影うららに物皆を 生し育たすは 道の大本


10ー天地の ありのことごと皇神の 御稜威にもるる ものとてやある


11ー人皆の 直き曲れる善き悪しき つばらに神は 知しめすなり


12ー怠らず 斎き祭らば いやちこに いやいやちこに神は守らむ


13ー神幸え 幸えますなり分け御霊 こころ誠に斎き祭らば


14ー此所もまた 高天原か 神々の 神集います 月見里(ヤマナシノサト)


15ー松をのみ  など愛づるらむ庵か崎  神留りますことを知らせよ


(以下七首 昭和3年の御警告なり)


16−1 その前徴(きざし)など思わざる 今の世は やすきになるる 時にあらなく


17 16−2 こころせよ国内のみかは海の外 浪風あらき こともあれれば


18 16-3 家の内の夜目(よめ)のいすすき しかはあれど まがきの外に こころゆるすな


19  16-4  邪神の まじこる国を きたむへき 軍備(いくさそな)へを おろそかにすな


20   16-5 いにしへの 例も多し この頃の ふさわぬ事を 如何(いか)にかは見る


21  16-6  起り来る 不祥事(ふさわぬこと)の かずかずも 神のきためと 人は知らずや


22 16-7 ともすれは 禍津(まがつ)の神の あらびあり まつりの道に こころゆるすな


23ー神の道 知らぬ人より うたてきは 神知りかおの 人にてありけり


24ー 霊幸(たまちは)ふ 神の御所行(ごしょぎょう)仰ぎ見よ あな奇(く)しきかも あなあやしきかも


25ー世の中の 善事まがごと 大方は 正しき邪しき 神のみこころ


26ー諸人の 祈るこころに 誠あらば 神の受くべき ものとこそ知れ


27ーあしき業  思いもなせそ 秘め置ける こころの底も 神は知るなり


28ー千早振 神の御恵み 思い知らば 善き事をのみ かけてつとめよ


29ーいなしこめ きたなき国ゆ 荒び来む 神の禍ある 世ぞこころせよ


30ー皆人の祈る こころにすき間あらば そのひまにつけ 禍津(まがつ)憑(よ)り来ね


31ー政事(まつりごと)みな皇神(すめかみ)の 御心(みこころ)を 受けて行う 世となりなばや


32ーいやが上に 君が代 祈れ大御民(おおみたみ) 神は常盤(ときわ)に守りませども


33ー仰げただ うつしき国民(くにたみ)あおげ(仰げ)ただ あが日の御子(みこ)は 唯人(ただひと)にまさず


34ー皇神(すめかみ)は 守りませども 国のため 身をばつくさむ 人の待たるる


35ー国にみな 国魂(くにたま)はあれど いやちこに 幸(さきはえ)えますは この大御国(おおみくに)


36ー内外(うちそと)の 差別こそあれ 異国(とつくに)も 神の御稜威(みいつ)に いかでもる(洩る)べき


37ー神国というよしを 知れ 外国(とつくに)も 神の御稜威(みいつ)にもるる(洩るる)やはある


38ー神代より 常世(とこよ)の浪の 重浪(しきなみ)の 寄せ来る国ぞ すめら御国は


39ー神を斎(いつ)き 君に仕うるまめ心 これ皇国(すめくに)の 御国風(みくにぶり)なり


40ー 国民(くにたみ)は 我が国風(くにぶり)を ならえただ 外国(とつくに)ぶりはとまれかくまれ


41ー賜ひし霊は 真澄の鏡 さやかなれど こころの塵に かつくもるなり


42ー水の面の 鏡と澄める池にこそ うつれる月も 影さやかなれ


43ーそが魂の 高きいやしき ほどほどに そのほどほどの 神かかります


44ーおのが魂の 尊さを知れ 己が魂は 産霊の神の 分け御霊ぞも


45ーおおらかに 醇朴(すなお)に なおく つとめなば こころの鏡 真澄みすむらむ


46ー赤き清き まことこころぞ 幽界の 神と交わる ものと知れかし


47ー忝なみ 尊み奉れ かくり世の こともかつかつしらせますなり


48ー霊術を 修むる時ゆ 身を清め みなりすがたをまづ正してむ


49ー何処(いずこ)との へだてはなけれ 静寂(しずか)なる 場の家居の たよりよきかな


50ー顕なる眼(まなこ)を閉じてこそ 幽冥の 神に交わる 道はひらくれ


51ー雑々の 心の内に 起こり来る あらぬ思念をまづ払えかし


52ー外辺より 我が身の上に犯し来む 千々(ちぢ)の感覚(さとり)に 心乱すな


53ー幽身(かくりみ)は 自由自在(おのがまま)なり 大海の 底にも入らむ み空にも行け


54ー何すとも 人の業には限りあれど 霊の奇日(くしび)は 限り知られず


55ー神術を修め得ずては 霊幸(たまちは)う 神の真実を知るよしもあらず


56ー霊術を 修め得てこそ 前の世も 此の世もさとり 後の世も知れ


57ーかかります 御霊にいかであるべしや 月日のわかち 道のへだたり


58ー神術の 林の奥に入らむには 審神者(さにわ)ぞ道の しるべなりける


59ー術も無きあらぬ沙庭(さにわ)の 嚮導(しるべ)には 横さま道を 踏みや迷はむ


60ー神術は いと奇日(くしび)なれど別きてまた 審神者の法ぞ あやにとうとし


61ー霊術に 審神者(さにわ)し無くば 邪神の 神憑(かみよ)り来しを見分けかぬべし


62ー現身(うつしみ)の この世にまさり 事足らい ものうるはしき 幽界(かくりよ)のさま


63ー政事(まつりごと) いと厳正(おごそか)に 賞(ほ)め罰(きた)め いとも正しき 幽界(かくりよ)はしも


64ー幽界の何れの界にも高き卑き 許多の段の階級(けじめ)ありけり


65ー幽界の 二つのわかち 先づ知らな まさし神の界 邪つ神の界


66ー顕界を 去りにし人の魂は 先づ知らすなり 産土(うぶすな)の神


67ー仰げ人 朝な夕なに 身に近く 幸(さきは)えますは 産土の神


68ー顕世(うつしよ)は 大君ませり 幽界を 統(す)べ治らするは 杵築(きづき)大神


69ー世の中の あらゆるものよ ことごとに 霊力体(ひちからみ)の 三つよりぞ成る


70ーいきあるは いわずともがな 土も石も 御魂たまわぬ 物はあらじな


71ー月星の めぐり違わぬ状見ても ものの力を それと知れかし


72ー目に見えぬ音さえ香さえ 味さえも みなものざねの あらざるはなし


73ー天津御空 星の位の定まりも 神の直霊に よりてなりけり


74ー春秋の 時季を違えず 行きかうも 神の直日に よるとこそ知れ


75ー物皆は 四つの魂たまわれど 人にのみこそ 直霊たまわれ


76ー君親に 仕うる道を おのづから 身に備うるも 直霊なりけり


77ー神ながら 世のいや進み 進み行くも 人に直霊を たびしにはよる


78ー人皆に 直霊し無くは かくばかり 西に東に 世は進ままじ


79ー兄弟夫婦朋友の 睦身合うも 神の賜いし 和魂なれ


80ー草も木も いや栄え行く 春の日の 長閑けき影は これ和魂


81ー和魂 有ればなれこそ 獅子虎も 馴らせばなるる ものにてありけれ


82ー百千鳥 さえずりかわす 楽しさは こはこれ鳥の 和魂なる


83ー草木さえ 和魂あり ながめやる 柳のみどり 花のくれない


84ー君の御楯 国の守りと 武夫の つくす心ぞ 荒魂なる


85ー皇国に あだなす敵を 打ちきため 御国守るも これあら御魂


86ー雪霜を 凌ぎしのぐも 草に木に みな荒魂 あればなりけり


87ー理(ことわ)りを つばらに知るは 奇魂(くしみたま) 奇(く)しくちはへる神のたまもの


88ー秘められし 幽契(かみのちぎり)も かつかつに 現われもすれ 世の進むなべ


89ー勉めよや 埋れつつ来し 霊術の 世に顕われむ 時は来にけり




追録


善き事に 凶事(まがごと)伊次ぎ凶事に よごといつぐと現身(うつしみ)の 人は云えども いたづらに 伊次ぐべしやは ゆかりなく いかで 伊次がむよき事は 神の御恵凶事は 禍津(まがつ)の御業(みわざ) 皇神(すめかみ)の 幸(さきわ)えますも 禍神の まじこる事も 己が身の 所業にはよれ その人の 業の報いぞ つばらかに 思いあきらめ まこともて 神を敬い 朝な夕な 正しき道を 踏めや世の人


よき事も 又凶事(まがごと)も各自

  なす業による報いとは知れ


天地の初発の時ゆ 天つ神の 掟のまにま 天つ日は 高く位し地球は そをしめくりて 常盤に仕え奉れり 皇神の 御言のまにま 皇ろきは 統べ治らしまし 国民は そをし仰ぎて 一向に まつろい奉れ 天が下に 国は多けど かくばかり 筋目正しき皇御国や 


天地の むたとこしへに 君と臣の

   分限正しき 国はこのくに



昭和三年三月二十八日警告


大御国 こころゆるすな 今の世は 風吹きすさび 雨あれんとす


御穂神社にては 先年神憑修行の際 年来積り来し穢の大修祓を行われしが

某神社神仏混交以後の穢如何にやと審神者(さにわ)が伺いしに


つもり来し 穢はあれど すがすがと 打ち払うべき 人をまつなり


さかしらに せましと踏みや 迷うらん ひろくとうとき 神の大道


門の外の 敵を思えや はらからの 内にせめかむ 時にあらなく


雲霧を はらいはらいて 朝みどり 晴れしこころを 神は受くらん


真心の 人ぞ少なき まごころを 言挙げをする 人は多きも


敷島の 大和の国は 天が下 国ちうくにの 中つみくにぞ


世を安く 国を穏(おだい)に なさんには 神のまつりを 怠るなゆめ


御神徳を 祷きまつるには 御神徳を 受くべき道を あゆめ教え子


神の御幸 あらずと人のかこつらむ 神に仕うる 道も踏まずて


※仮名遣いなど修正あり



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