高松貝陵の占例 周易古占例(33)(3)備前国岡山の医師、北岡宗(きたおかそう)庵(あん)終身の占、(4)男子の疾を占す
天元春日 周易古占例 33
本ブログでは、少しずつ周易の古占例を掲載してゆきたいと思います。
今回は高松貝陵の占例です。
【高松貝陵の占例】
(3)備前国岡山の医師、北岡宗庵終身の占
【得卦 蒙(もう)之師】
【高松貝陵の占】
備前岡山の医師、北岡宗庵、終身の事を筮す。
時に文化十五年の春なり。宗庵年三十有四
本卦 山水蒙(さんすいもう)
変(へん)卦(か) 地水師(ちすいし)を得たり。
断を予(高松貝陵)に乞う。
予示していわく、これより四年の後、春夏の際(あいだ)にあたって水難の恐れあるべし。
慎しめばすなわち免(まぬが)る。
謹(つつし)まざれば命、危うからんと。
果たして文政辛巳(ぶんせいかのとみ)宗庵年三十有七、京師(けいし)に上(のぼ)る途(みち)にして乗船す。
三月十九日、播州(ばんしゅう)赤石(あかし)沖(おき)において難船(なんせん)して死す。
断法、蒙(もう)、需(じゅ)、訟(しょう)、師(し)、比(ひ)みな主爻坎(かん)に體(てい)す。
これすなわち水難の象(かたち)なり。本卦蒙、変卦師、蒙より師に至る、すなわち四年なり。
また一爻を一年として考うれば四年は蒙の六四にして困(くるしむの)レ蒙(もうに)吝(りん)とあり。
また変爻より年を算(かぞ)うれば蒙の上九より四年にして需の九三にいたる。
いわく、
需二于泥一致二寇至一
(どろにまつ。あだのいたることをいたす)と。
このゆえに、これより四年の後、慎まざれば必ず水難ありという。
爻(こう)象(しょう)を推(おす)に、この水難必ず蒙需(もうじゅ)の際(あいだ)にあり。
蒙は春にして需は夏なり。ゆえに春夏の際(あいだ)という。
案ずるにこの死やこれ、命(めい)にあらず。
世人(せじん)多く占示(せんじ)をあなどる、筮してここに慎まずんば何の益(えき)かあらん。
(4)男子の疾を占す 【得卦 復之坤】
【高松貝陵の占】
男子、年四十、疾(やまい)あり重し。衆医みな手を放つ。
時にこれを筮すれば
本卦地雷復、
変卦坤(こん)為地(いち)を得たり。
筮者また死を断ず。
予いわく、この病死せず。今より十一日を過ぎて必ず快気すべし。
ただし、治療觧剤(げざい)を用ゆるに利あり。
はたして、その言(こと)のごとし。
断法復の初九
不レ遠復无レ祇レ悔、
(とおからずしてふくす。くいにいたることなし)
これ病、本復の兆(ちょう)なり。
復の次を无妄とす。
无妄の九五
无妄疾勿レ薬有レ喜
(むぼうのやまいはくすりすることなかれ、よろこびあり)という。
これ十一日を過ぎて快気するの占なるべし。
※出典 文章は読みやすくするため、適宜加削変更しています。
【執筆者】
天元春日(あまもとはるひ)
易占研究家。神道家。
【Twitter 】「天元春日」で検索してください。
【ココナラ】 「天元春日」で検索してください。
【著書】
○『年卦八索法 平田篤胤の易学研究』1250円(Kindle)
《内容》
平田篤胤の易学占法「年卦八索法」を見直し、解釈しました。
本書では、平田篤胤が『太昊古易伝』に述べている年卦八索占法を整理し、不備と思われるところを生田萬、新田目道茂等の著書から補い、さらには同法の理論を展開して、より詳細な占断法について考察。
また別途筮法や思想的な背景についても本文を要約して紹介し、それによって年卦八索法の体系化を試みました。
○『考古易説ー日本神話・古典による易教解釈ー 附・平田易納甲表』300円(Kindle)
《内容》
江戸時代末期〜明治初期に、国学者によって書かれた書籍を翻刻・編集。
易の64卦を神話や古典の事象を当てはめて解説しています。
平田易による独自の納甲表も収録。
〇「二千年来の一人」真勢中州及びその一門の周易占例集(六十一占例)500円
(Kindle)
【出版物】
○『大島中堂選集』1250円(Kindle)
《内容》
大正〜昭和初期に活躍した易占の大家、大島中堂氏の著書を選集という形でまとめました。
周易愛好者必携の書です。
収録書籍
1、 『周易埋物霊祟秘伝 全』
2、 『易学千里眼』
3、 『真易中州の易学』
4、 『五段論式必中占法』
5、 『易学速成講義録』(全六巻)