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救世軍 月面基地の訓練校で『E.G.コンバット』

秋山瑞人先生の作風が好き過ぎて、もう続けていきます。
イリヤでも鉄コミュでもなく…そちらも感想書きたいんですけどね。折を見て。
今回は、いきなりもの凄い力量で読ませるデビュー作『E.G.コンバット』です。

勢い、熱量、ケレン味等々は後の作品に引けをとりません。

飛び交う軍事用語に通信用語。
人類の存続が危ぶまれる世界で。
訓練生や卒業生は刊行当時の、90年代のアニメ風に…ライバルの大尉が縦ロールでお嬢様でおーーーーーほほほほと高笑いがほんと すごい… まあ揃いも揃って容姿性格濃い味な顔ぶれで。
情け容赦のない死線を潜り抜けていきます。
生きて帰るやり方を学び経験していきます。

つい最近、読み返していたのですが 初回の印象が吹き飛ぶくらいに熱く重くて驚きました。
日常と非日常のコントラストが眩しく効いている作風は、すでにデビュー作から確立されています。
非日常の 怒涛の展開に、どうにかついていって読み終えただけで精一杯。初回の印象といいましたが相当忘れていて…不甲斐無いですね。
強烈にSFしてます。おもしろいです。

なかでも色濃くSF的で、見せ場も多彩なキャラクターがいます。
流体脊髄ユニット『GARP』です。


人型兵器というより戦車のイメージに近い、5人乗りの双脚砲台のオペレーションを担う6番目の搭乗員。GARPは電子制御に特化した生体ユニットで、自我があります。人と会話を交わし思考します。

AIではない、生きたオペレーションシステムというのがおもしろいですね。倫理的な面では色々あったようですが、さておき彼らはそういう種族として、人と共に兵役し戦います。


作中の訓練校には、演習機としての双脚砲台が26機。そこへ組み込まれた流体脊髄の個体差はかなり大きいらしく、自我はあっても感情の発露がみられないということも。この場合は普通に優秀なオペレーターをしてそうですね。

主人公が率いる部隊の一員であるGARPは、知性的な話し言葉にもくだけた親しみやすさがあり、操機演習中の雑談を一緒になって楽しみます。
嫌いな整備課の訓練生を恐怖させ、夜の格納庫ではひとり思い悩んだり。とても人間味に溢れた双脚砲台です。
要所での口上も得意げで、やたらと調子が良いのが変におもしろい。

ボンクラ部隊と方々からそしられていても、部隊のメンバーが好きだといいます。まだ誰も気付いていないやる気と熱意を汲み取り、献身的に支えます。本当にいい奴なんです、最初からずっと。

個性が炸裂する5人部隊と双脚砲台、左遷辞令を食らい新人教官となった 負けん気の強い大尉とで、ドタバタな寮生活がはじまります

みたいな、そんな雰囲気はたしかにありますが、各巻ライトノベル的には終わりません。

今までにない訓練に明け暮れる隊の成長を見る1巻から、2巻の“試験勉強”。そして実務演習へ。月コロニーの地下へ、演習に行って帰ってくるはずでした。
熱くて辛くて無慈悲な展開というのは、小説で読むのが何よりも効きます。
読み応えのあるSFです。

そしてこの作品は…現在未完です。
でも大丈夫ですほんとにおもしろいので。
もしも3巻があと少し手前で終わっていたなら 嫌過ぎましたが。
ここまで存分に楽しく読ませてもらえたので4巻は…続きは…完結までもちろん見届けたいに決まってます!待ってます!
もどかしさもありつつ、おすすめしたい作品です。再読もぜひ。

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