超短編小説|翻訳アプリ
「世界中の人と会話ができるアプリです」
ネットサーフィンをしていると、わたしはそんな文言のバナー広告を見つけた。広告をクリックすると、すぐに公式サイトへ飛んだ。
公式サイトには、「リアルタイム翻訳機能で、海外の人とかんたんトーク」と書かれていた。すごく魅力的なアプリだ。しかも、最近、アプリの会員は100万人を突破したらしい。ミーハーなわたしは、それが欲しくてたまらなくなった。
アプリの会員登録を済ますと、会員ページが表示された。とてもシンプルなデザインで、いつも使っているメッセンジャーアプリのような使い勝手が良さがあった。
わたしは、さっそく「友達募集」と書かれたページからエミリーという女性を選んで、フォローボタンを押してみた。するとエミリーからすぐにフォローバックが来て、わたし達はチャットで会話をすることになった。
「はじめまして、私の名前はエミリーです。私をフォローしてくれてありがとう。私の趣味は……」
「はじめまして、わたしは……」
アプリを使い始めて半年が経ったとき、わたしに異変が起こったことに気づいた。けれど、それが何なのかさっぱり分からなかった。周りの友達は、「なんか最近話し方変だよ」と言っていた。
「ねぇエミリー。明日から、わたしは京都へ旅行に行こうと思っているので、あなたは何かお土産として、わたしに買ってほしいものはありますか?もし、あなたが良ければ、わたしはお土産をあなたの国へ送ることできますよ」
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