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甘党の僕は、ブラックコーヒーを飲む。

 最近、毎日ブラックコーヒーを飲んでいる。正月に実家に帰ってから、その頻度はさらに増した。僕は、甘党なのに...。

 以前は、よくカフェラテを飲んでいた。エスプレッソをミルクで割ったそれにシロップをたっぷり入れて、目一杯甘くする。おまけに、甘いケーキやお菓子と一緒にペアリング。いつしか、これが僕の日常になっていた。

 そんな生活をつづけていると、自分の体に少しずつ変化がおとずれる。もちろん多少の変化では、なかなか気づけない。だから気づいたときには、もう遅かった。

 振り返れば、自分のまわりには、指摘してくれる人もいた。彼らは、「もしかして、鍛えていますか?」とか、「大胸筋が凄いですね」とか、直接的には決して言わず、オブラートに包んでいた。

 薄々気づいてはいたものの、行動に移せなかったのは、「自分は大丈夫だろう」と鷹をくくっていたからだと思う。中高は陸上部だったし、ずっと痩せ型だったし、自分が太ってしまうなんて、想像すらしたことがなかった。

 新年は、実家で迎えた。僕は、新年一発目の行事として、体重計に乗った。実は、僕の住んでいるアパートには、体重計がない。2年前に、前のが壊れてしまってから、買わずにそのままにしていた。要するに、体重を計るのは2年ぶりだった。

 僕の重くなった体は、体重計をどっしりと押しつけていく。メーターが早送りで回り始める。僕は現実から避けるように、左右の足の重心を交互に変えていた。それでも、動きだしたメーターは止まらない。

 やっと止まったそれは、恐ろしい数字を刻んでいた。それは、僕の予想を遥かに超える数字だった。

 2年前に比べて、15キロも太っていた。

 僕はそれから、ダイエットを始めた。コンビニでケーキを買うのも控え、お酒も当分は我慢する。買い出しのためにスーパーへ行くのも、ウォーキングにした。そして、大好きなコーヒーは、ブラックのみと課した。

 甘党の僕は、今日もブラックコーヒーを飲む。1粒のチョコレートと共に。

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雨宮 大和|エッセイ・短編小説
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